2020年7月9日木曜日

衆院本会議に臨む河井克行前法相=国会内で2020年6月17日午後3時、竹内幹撮影
© 毎日新聞 提供 衆院本会議に臨む河井克行前法相=国会内で2020年6月17日午後3時、竹内幹撮影  

 2019年参院選を巡る選挙違反事件は8日、参院議員の河井案里容疑者(46)=広島選挙区=と前法相の夫克行容疑者(57)=衆院広島3区=が公職選挙法違反(買収など)で起訴される事態に発展した。夫妻への批判が高まる一方、辞職した首長らを含む受領側は立件が見送られることになり、混乱渦巻く県政界に厳しい目が向けられそうだ。【池田一生、園部仁史、手呂内朱梨、渕脇直樹】
 「夫妻は何も説明していない。全ての真実を自分の口から説明するのが彼らにできる唯一の誠意だ」。夫妻起訴の報が伝わった8日午後、県議会の中本隆志議長が語気を強めた。
 19年10月に発覚した案里議員の陣営による運動員買収疑惑は、県政界を揺るがす大規模買収事件に進展した。県内では克行議員から現金を受け取ったと認めた安芸太田、三原、安芸高田の3市町長が辞職。県議だけでも十数人に金銭授受があったとされるが、中本議長は「夫妻が関与した特殊な例だ」と述べた。
 この日は湯崎英彦知事も報道陣の取材に応じ「(夫妻には)一票を投じた県民に対して説明責任がある。裁判でしっかりと事実を明らかにしてほしい」と指摘。受領側の地方議員らについても「(現職の国会議員である夫妻との)力関係はあると思うが、有権者の負託を受けて仕事をする立場上、説明は必要と思う」などと語った。
 これに対し、立件が見送られることになった受領側のある県議は「何か言える立場にはないが、検察の判断を尊重し、議員活動は続けさせていただく」と述べた。一方で克行議員から現金を受け取った別の地方議員は「夫妻だけの責任にしていいのかと思うが、これでようやく後援会に説明できる」とし、進退について支持者らと相談する考えを示した。
 市民からは厳しい声が聞かれた。広島市西区の男性会社員(54)は「あの夫妻を私たち県民が選んだと思うと恥ずかしい」と語り、現金を受け取った側の処分には「選挙で金をもらっても、簡単には罪に問われないとの前例ができてしまうのではないか」と疑問を呈した。尾道市栗原町に暮らす自営業の女性(64)は「カネまみれの選挙だったことが判明した。受領側も問題があるはずで『断り切れなかった』との説明には納得できない」と批判した。

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