2020年8月9日日曜日

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 若い頃はビールを好み、尋常ならざる酒量だったと知り、ちょっと親近感を覚えた偉人がいる。ドイツの社会学者、マックス・ウェーバーだ。今年は没後100年にあたり、新書2冊が同時に出た◆野口雅弘氏の評伝(中公新書)によれば、血気盛んな学生団体に属し、実家に帰省したところ、厳格な母から平手打ちされた。決闘で頬に傷をつけ、すっかりビール太りしていたからだ◆長じてからも聖人君子とは言いがたい。激しい一面があり、情熱を学問へ転じることで、主著『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』のような業績を残しえたのかもしれない◆晩年の受講生が伝えるには、シュナップス(火酒)を机に置き、「諸君、仕事は学のあるもののシュナップスである!」と演習を始めたのだとか。学業に酔うべし、ということか(『回想のマックス・ウェーバー』)◆研究者でもなければ、普通はまあ酒より学問とは行きかねる。ただし“巣ごもり生活”で飲み過ぎる、アルコールに頼りがちとなれば、ほかに酔える何かを探したほうが人生を豊かにするだろう。盛夏のビールは難敵ではあるけれど。

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