2020年8月8日土曜日

 

 巨人が今季3度目の連敗で、8カードぶりにカード初戦を落とした。中日・大野雄に完投を許した。中5日で先発した田口が、2回にその大野雄に先制打を許すなど5回5失点で今季初黒星。今季の巨人投手陣は投手への被打率が2割3分4厘と高く、またも課題を残した。打線も阪神・高橋らに抑え込まれた前日の零封負けに続いて、得点は4回の北村の2号ソロだけと沈黙した。

 序盤の失点が重くのしかかった。試合後、原監督は開口一番、主導権を簡単に譲ったことを悔いた。「ちょっと2死からの4点は重かったね」。2回、田口が2死一、二塁から投手・大野雄の中前適時打を手始めに3連打を浴びて一挙に4失点した場面を指摘した。

 指揮官が特別にほぞをかんだのは、その直前のプレーを生かせなかったからだ。2回1死一、三塁。井領の打球はボテボテの二ゴロとなった。北村は捕球後、本塁に転送。打者走者が俊足の左打者とあり、併殺を狙わず、確実に1点を防いだ。「あの場面は次の打者を考えて。4―6―3で(併殺を)取れるチャンスは少ない。あれはナイスジャッジだった」と原監督。それだけに、投手の大野雄に打たれた先制打は痛恨だった。

 取れるアウトを確実に取らなければ、ツケを払う羽目になる。今季は投手が打者の打席で64打数15安打1本塁打、被打率2割3分4厘は野手のそれとほぼ同等だ。原監督も「そこは反省するところでしょう」と注文をつけた。9人目の野手とはいえ、やはり投手に打たれては士気にも関わる。

 とはいえ長いシーズン。全勝できるわけではない。大事なことは敗戦から何を持ち帰り、次につなげるか。原監督はそんなメッセージを「投手・増田大」を引き合いに送った。

 前日6日の阪神戦(甲子園)。11点ビハインドの8回1死から内野手の増田大を登板させた。真意はこうだ。「(日本一という)目的に向かうためにやってる。ピンチの時ほどチャンスはある。ピンチをピンチで終わらせてしまうのはただの凡事」。長い旅路の先を見据えた上で、勝ちパターンのリリーバーを休ませた。

 20年は新型コロナウイルスの影響で日程は過密を極め、いつ誰がどんな形で戦列を離れるか予測できない。全ての可能性を想定し、必要な手として打った。

 メジャーではよく見るが、日本ではまだ異例と言える起用法。否定的な意見も耳にしたが「そういう人がいてもいいんじゃない」と全て受け止めた。「そんな日本で、ジャイアンツではやってはいけないとか小さなことじゃない。俺はね、ただじゃ転ばないのよ」。言葉に強い覚悟をにじませた。

 だからこそ、大事なのはこの試合から何を持ち帰るか。指揮官が求めるものは「投手も含めたスターティングメンバーが主導権を持ったゲームをつくる」こと。打線は2試合連続2ケタ三振を喫し、中でも丸は14打席連続無安打と奮起が待たれる。野手は先取点を必死に取る。投手は援護があるまで0に抑える。シーズン3分の1を終えた今、原点に立ち返る。(西村 茂展)

 ◆巨人投手メモ 今季、巨人の投手陣は相手投手に64打数15安打(1本塁打)の打率2割3分4厘と打たれている。6月19日、阪神との開幕戦(東京D)では菅野が3回2死から西にポール上部を直撃する先制ソロを被弾。続く5回1死二塁からは適時二塁打を許し、2点を失った。7月24日のヤクルト戦(神宮)では今村が2回1死二、三塁からドラ2ルーキーの吉田喜にプロ初安打となる先制の2点打を許すなど、得点圏で安打を許す場面も目立っている。

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