2020年7月14日火曜日

[コロナの疑問]夏には流行収まる? 冷房室内利いた注意

 暖かくなると、新型コロナウイルスは消える――。そんな期待感がありましたが、いまだウイルスは消えないどころか、世界各地で感染が広がっています。
 新型コロナウイルス感染症の流行には季節性があるかどうかは、今の時点では正確に分かりません。
 楽観論の背景には、〈1〉インフルエンザや、従来型のコロナによる風邪は冬を中心に流行する〈2〉新型コロナの仲間のウイルスで起こった重症急性呼吸器症候群(SARS)が2002年11月から感染が広がり、03年7月に終息した――ことがあります。
 コロナウイルスは、遺伝情報が詰まったリボ核酸(RNA)を持つRNAウイルスで、脂質でできた膜に覆われています。RNAは紫外線に、膜は高温や多湿に弱い構造です。新型コロナも同じような構造で、夏に少なくなる可能性があります。
 ただし、これは屋外の話です。エアコンが利いた室内では、紫外線や高温、多湿といった「天敵」がなくなります。だから、換気が重要です。長崎大熱帯医学研究所の森田公一所長(ウイルス学)は「閉めきっていれば、冬と変わらない環境になる。そこに多くの人が集まれば、感染のリスクが高くなります」と指摘します。
 実際、これまでに感染拡大が起きたのは、接待などを伴う「夜の街」や病院などの密閉、密集、密接の「3密」になりやすい場所が中心でした。同じような条件がそろえば、仮に新型コロナが夏に弱くても、感染が広がってもおかしくありません。
 また、SARSと新型コロナを比べると、感染はSARSが症状がある人から広がるのに対し、新型コロナはそれに加えて無症状者からも拡大します。SARSは患者を隔離して封じ込められましたが、新型コロナではそれが困難です。
 多くの人が免疫を持つまでは、季節に関わりなく、手洗いの徹底や、人との距離を取る、人混みでのマスク着用などの対策を続ける必要があります。
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 新型コロナウイルス感染症の国内初の患者が見つかったと発表された1月16日から、まもなく半年。医学・科学的な分析が少しずつ進む中、現時点での知見を基に、様々な疑問に答えます。

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