実は高齢者の大多数は、「最後を自宅で迎えたい」という意向があります。
その一方で、2016年の厚生労働省「人口動態統計」によると約75%は病院で亡くなっており、自宅で最後を迎えたのはわずか13%です。
確かに自宅で家族が看取りを行うことは、身体的・心理的な負担が掛かります。
そのため家族に遠慮し、病院や施設で最後を迎える高齢者も多いと考えられます。
もし高齢者の希望に沿って自宅で看取りを行うとしたら、どのような準備が必要になるのでしょうか。
その手順と費用について解説します。
自宅で看取る場合の手順
ケアマネを決め、医療と介護サービスを整える
まずはケアマネを決めて、看取りの意向を伝えましょう。ケアマネが在宅医・訪問看護・訪問介護など必要なサービスを提案してくれます。
特に重要なのが在宅医と訪問看護です。
看取りの方針を決める
看取りといっても、やり方はさまざまです。苦痛を緩和するために酸素マスクを使用することもあれば、何もせず自然に任せることもあります。
何をどこまで行うのか、チームとして方針を決めておきます。
これもケアマネに協力してもらえば話を進めてもらえます。
日々の支援を行う
ここでは、訪問看護や訪問介護が身近な相談者としての役割を担ってくれるでしょう。
日々の状態変化に対してさまざまな不安が起こると思うので、関りが多い相談者はとても大切です。
最後の時を迎える
多くの場合、意識低下した状態が数日続き、そして呼吸が変化すると最後の時が目前となります。呼吸が停止した時は、慌てずに在宅医へ連絡しましょう。
在宅医が死亡診断書を書けない場合、警察が介入し検視する必要があります。
もしそうなったとしても、法律に沿って実施されるだけなので心配しないでください。
看取りの経験がないと心配なことはたくさん出ますが、本人にとって苦痛が少ないことと、家族にとって無理のない範囲で対応すれば十分だと思います。
自宅での看取り費用について
次に、自宅で看取りをする場合の費用は、どの程度発生するのでしょうか。
結論として、病院や自宅での看取りは医療保険を使うため自己負担の上限があります。
しかし高額になるのは医療保険の費用よりも、ベッド代や部屋代といった保険以外の費用です。
自宅で看取る場合
在宅医と訪問看護の費用は併せて、月1万3,000円~1万8,000円程度(1割負担)が目安となります。ただし先ほども上げたように、医療保険は高額療養費制度が適応されるため、入院したとしても自己負担の上限で収まります。
一般的な70歳以上の高齢者であれば、月5万8,000円程度が自己負担の限度です。
ただし、詳細は保険者に確認が必要です。
また訪問介護は利用した分だけ費用が発生することになりますが、ケアマネがついていれば介護保険の枠内で収めてもらえるでしょう。
よって要介護5でも、4万円程度の費用負担を見込んでおいてください。
病院で看取る場合
医療保険は高額療養費制度により、自己負担の上限があります。自宅で手厚い医療を受けても、病院で支援を受けても上限は同じです。
問題はベッド代や食事代です。
仮にベッド代が1日5,000円、食事代が1日3食1,200円とした場合、30日で約19万円の費用が発生します。
病院によってはオムツやリネンのレンタル代が発生します。
入院時の費用は、事前に内容を確認しておいたほうが良いでしょう。
看取りの費用と労力を把握して幸せな終末期を迎えよう
以上のように、病院と自宅では看取りに関する費用も大きく違ってきます。ただし1番大切なのは、「高齢者本人がどう過ごしたいのか」であり、そして「家族のやり残しがないように接すること」です。
不安なことも多いでしょうが、高齢者が幸せな終末期を迎えられるよう、ぜひ参考にしてください。(執筆者:小原 しろう)
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