2020年8月26日水曜日

 街で障害のある人と出会ったら~共生社会のマナー
医療・健康・介護のコラム

「ホームにある点字ブロック」の意味を知ってますか?…案内するときは注意 「上を歩く」とは限りません

 ヨミドクターをご覧の皆様、はじめまして。サービス介助士アドバイザーの 平野恵(ひらのめぐみ) と申します。私は視覚に障害があります。視力は明暗が分かる程度で、歩行時は 白杖(はくじょう) を使用しています。サービス介助士アドバイザーとして、障害者の日常生活や生活上の困りごとなどについて、暮らしやお仕事に活用できるお話をさせていただいております。そのような経験をもとに、今回から同僚の冨樫と交互にコラムを執筆していきます。
 さて、私の1回目は、視覚障害者が日常で使用している白杖と点字ブロックについて、そして、視覚障害者の視点から見た新型コロナウイルスに感染しない・させない対策についてもお伝えしていきます。

白杖は弱視の人も持っている


「ホームにある点字ブロック」の意味を知ってますか?…案内するときは注意 「上を歩く」とは限りません

 まず、白杖についてです。
 街で、白い杖を持って歩いている方を見かけたことはありませんか。白杖は、左右に振ったり道路をたたいたりすることで、段差や点字ブロックの有無、道路の状況を確認することができます。
 白杖を使用している人は「全盲」、つまり全く見ることができない人だと思われることがあるのですが、「弱視」の方も白杖を使用することがあります。弱視の方の見え方は、「範囲が狭い」「色を認識することが難しい」など様々です。歩行のためというより、主に障害があることを周囲に伝える目的で持っている人もいます。つまり、視覚障害と一言で言っても、見え方は様々であり、白杖の使い方も様々なのです。次に点字ブロックについてです。点字ブロックには、視覚障害者を誘導するものと、危険を伝えるものがあります。
 駅のホームに敷設されている点字ブロック(正式名:視覚障害者誘導用ブロック)を見たことがあると思います。ホームの外側にある点字ブロックは、歩行を誘導するものではなく、「ここより線路側を歩くと危険ですよ」という警告として設置されていることをご存じでしょうか。ホームで視覚障害者を案内する時は、視覚障害者が点字ブロックより内側を歩けるようにしてください。
 また、「視覚障害者は必ず点字ブロックの上を歩く」と思っている方もいらっしゃいますが、私の場合は、慣れている場所では点字ブロックの縁に白杖を当てて歩くことが多いです。点字ブロックの上はデコボコして歩きにくいことと、上を歩くよりも白杖を当てたほうが曲がり角などを察知しやすいからです。そのため時々、「点字ブロックから外れていますよ」とお声がけいただくことがあります。点字ブロックの利用方法は、視覚障害者によって異なるので、最初は見守って、迷っているようであれば声をかけてみてください。

物に触れる機会が多い視覚障害者 気になる「コロナ」

 視覚障害者は、白杖や点字ブロックを利用するほか、手すりや壁など、物に触れながら歩行したり、物に触れたりすることで場所を確認することも多いです。しかし、新型コロナウイルスの影響で、触れて確認することに抵抗がある人も増えています。携帯用の除菌シートやスプレーなどを持ち歩いて、こまめに手などを消毒するのですが、あらかじめ手すりなどが消毒されていると安心できます。
 歩行に困難を感じている高齢者や肢体不自由者も、手すりなどを利用します。施設のどこを消毒すればよいのか、検討してみてください。また、お手伝いする際には、視覚障害のある方に、「私はマスクをしている」「手を消毒している」といった情報を伝えると安心してもらえます。(平野恵 サービス介助士アドバイザー)
 このコラムでは、サービス介助士の学びから高齢な方や障害のある方のお手伝い方法をお伝えする他、認知症や災害時のお手伝い方法など、これからの生活で身に付けていただきたいことをご紹介していきます。

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