020/08/19 07:2
■10年で300人
都監察医務院によると、23区では2010~19年、996人が熱中症で亡くなった。遺体の状況から死亡時刻を推定した人を含め、301人が夜間(午後5時~午前5時)だった。
埼玉県熊谷市で国内最高の41・1度を観測するなど猛暑となった一昨年の夜間の死者は56人で、昨年は40人だった。2011年からはエアコンを使用していたかを調べているが、75%が使っていなかった。
記録的な猛暑となっている今夏は、関東甲信が梅雨明けしたとみられる今月1日以降、東京都心では熱帯夜が17日までに11日間記録されている。今月死亡した79人のうち約4割の32人が夜間で、25人だった日中(午前5時~午後5時)を上回った。時間不明は22人だった。
夜間の死者32人のうち30人は65歳以上。エアコンがなかったり、使用していなかったりした人が28人に上った。北区のアパートで11日午前、遺体で見つかった80歳代の女性の場合、10日夜から翌11日未明まで気温が30度近くあったが、エアコンが故障していた。
■熱帯夜増える
熱帯夜は近年、増えている。気象庁が北海道や千葉県、鹿児島県など全国13か所で1年間に熱帯夜を記録した日数を調査したところ、1910~19年は平均7・51日だった。
その後は年々増加し、50~59年は14・39日で、90~99年に初めて20日を超えた。2010~19年は27・17日にまで増えた。コンクリートの建物が増えた結果、都心部に熱がこもる「ヒートアイランド現象」や、大気中の温室効果ガスが増加して気温が上がる「地球温暖化」などが影響しているとみられる。
今月は各地で暑い夜が続いている。17日は全国的に熱帯夜になった地域が多く、名古屋市、大阪市、福岡市などで夜まで軒並み25度以上となった。
気象庁によると、日本列島は今月下旬まで高気圧に覆われやすく、広い範囲で気温が高い状態が続き、寝苦しい夜が多くなりそうだ。
熱中症に詳しい中京大の松本孝朗教授は「夜間は寝ているため気付かないうちに脱水症状が進み、自覚しないまま重症化するケースもあって危険だ」と警鐘を鳴らしている。
予防法は…冷房は一晩中 寝る前に水分
夜間の熱中症を防ぐにはどうしたらいいのか。横浜国立大の田中英登教授(環境生理学)に聞いた。
日中の暑さを乗り切るためにも十分な睡眠が大切だ。特に高齢者は、熱帯夜は一晩中エアコンをつけ、温度と湿度を管理する必要がある。部屋の窓を開けても、室内の温度は下がらない。
まずエアコンは26度に設定して室内を冷やし、寝る直前に28度に設定し直す。冷気が直接体に当たると風邪を引く恐れがあるので、扇風機などで循環させると質の高い睡眠がとりやすい。
湿度の調節も重要。空調メーカー「ダイキン工業」(大阪)と行った実験では、室温28度で湿度を85%から60%に下げると、体感温度が約4度下がった。同社は冷房や除湿運転で湿度50~60%に保つことを推奨している。
体温が上昇して汗をかくと、体周辺の湿度が上がったり、脱水症状を起こしたりしやすい。寝る前にコップ1杯の水を飲むと良い。
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