GoToトラベル期待外れ、JALとANAは再び減便拡大
新型コロナウイルスの感染拡大で、航空会社が運航計画の変更を余儀なくされている。全日本空輸と日本航空は、8月の減便率がいったん縮小したものの、9月は再び拡大する方針だ。経営が悪化する航空各社は、減便によって燃料費などの変動費を極力抑える考えだが、当面は感染状況に左右される局面が続く。
全日空は9月の国内線で、当初計画比で45%(1万445便)を減便する予定だ。前月比では減便率が20ポイントも上昇する。日本航空も32%(8223便)を減便し、前月から4ポイント拡大する。
両社は感染拡大による需要の減少に伴い、3月から国内線の減便を始めた。緊急事態宣言が出ていた5月には減便率が7割を超えた。その後、都道府県をまたぐ移動の自粛が段階的に緩和されたことで減便率は低下傾向となったが、感染の再拡大で増加に転じた。
政府が7月22日から始めた観光支援策「Go To トラベル」事業も期待外れとなった。お盆の期間(8月7~16日)前に感染者が急増し、キャンセルや旅行控えが相次ぎ、期間中の旅客数は全日空が前年同期比69・6%減の47万8650人、日本航空が66・9%減の39万102人と落ち込んだ。全日空によると、「全方面で大幅に需要が減退した」(広報)という。
民間調査会社「航空経営研究所」によると、全日空と日本航空が利益を確保するには、国内線の搭乗率は60%が最低ラインとなる。だが、お盆期間は、全日空が32・7%(前年同期は85・0%)、日本航空が37・1%(86・5%)と、ともに60%を大きく下回った。
全日空を傘下に持つANAホールディングス(HD)と日本航空は、2020年4~6月期連結決算の最終利益がともに1000億円前後の赤字に陥った。ANAHDは国内線の需要が感染拡大前の水準まで回復するのは「21年度末」(福沢一郎常務)とみている。日本航空の菊山英樹専務も「今年度末で感染拡大前の8割程度」と想定する。
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