2020年8月6日木曜日

被爆ピアノ 平和への旋律…広島原爆忌

  式典の前身「平和祭」が最初に開かれた1947年から歌い継がれてきた「ひろしま平和の歌」。毎年数百人が合唱してきたが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、代わりに地元の女子高校生による「被爆ピアノ」の旋律が犠牲者を悼んだ。ピアノは、爆心地から南東約3キロの民家で原爆に遭い、被爆2世の調律師・矢川光則さん(68)が被爆者団体から引き取って調整してきた。弦を2本入れ替えた以外は当時のままで、表面にガラス片が突き刺さった痕などが残る。広島市によると、式典で被爆ピアノが演奏されるのは初めてという。

 大役を務めたのは、広島市立基町高3年の平賀小雪さん(17)。曽祖父が被爆者だが、詳しい体験は聞いておらず、平和について考える機会は学校の授業ぐらい。演奏者に選ばれてから家族に「ヒロシマの高校生としての責任を果たせるように」と背中を押され、毎日3時間近く練習を重ねる一方で、学校帰りに平和記念資料館に足を運んで原爆について調べた。

 この日、平賀さんは演奏前から笑顔を見せるなどリラックスした様子で、堂々と鍵盤けんばんをはじいた。演奏を終え、「私たちは戦争を知らない世代だが、知ること、伝えていくことが大切。世界中の人にも言葉を超え、このピアノだからこそ奏でられる音で思いが伝わればうれしい」と話した

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