2020年7月19日日曜日

三浦春馬さん(c)朝日新聞社© AERA dot. 提供 三浦春馬さん(c)朝日新聞社  俳優の三浦春馬さんが18日、亡くなったことがわかった。30歳だった。自殺とみられる。突然の訃報にネット上ではファンや関係者らの悲痛な声が広がっている。
 アエラ本誌では、2015年8月3日号で三浦さんと俳優の水原希子さんの対談を実施。実写映画「進撃の巨人」に出演するにあたって感じたプレッシャーや意気込みを語っていた。
 三浦さんは自身が演じたエレンの葛藤について、「たとえば、10代の時に思い描いていた20代の自分が、いざその年になってみると、まったく違っていて、焦る瞬間」があると自身の経験と重ね合わせながら作品の魅力を話していた。ここでは当時の対談をそのまま再掲する。
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三浦春馬さん:エレンを演じることには、ものすごいプレッシャーがありました。あれだけ人気のある漫画の、しかも主人公。業界内でも注目度が高かったので、先輩方にも「楽しみにしている」と言われると、励みにはなったけど、本当にしっかりしなきゃって。
水原希子さん:実は、私は漫画を読んだ時から、ミカサはヒロインだけあってとてもきれいな女性だし、強くて魅力的なキャラクターだと思っていて。だから、もし映画化されるのなら、恐れ多いけれど、ミカサ役がいいなあって思っていたんです(笑)。
三浦:漫画のエレンは、青臭くて、何かに突き進むエネルギッシュな部分を持っているんですけど、映画の中の彼は孤独。あるいは、何かに焦っているようにも感じました。そうした一匹オオカミっぽい感じは常に意識して演じていました。
水原:ミカサって、漫画と映画のどちらでも強いです。だけど、それぞれ強さの種類が違うのかなと感じています。漫画では、子どもの時にエレンを守るため、人を殺したりして、ヘビーな過去を持っている。何ていうか、子どもの時からいろいろなことを悟っていて、カリスマ的な強さ。でも、映画の中の彼女は幼くて、何の闇も抱えていない天真爛漫でピュアな部分があります。それがやがて、愛する人のために戦い、大きな愛を持った女性に変わっていったように思います。
三浦:僕の解釈で話させてもらうと、映画化するにあたって、樋口真嗣監督は普遍性を感じてほしかったんじゃないかなと思ったんです。つまり、エレンは孤独で、漠然と現状に納得がいかずにもがいているんだけど、大きな目標や、自分が打ち込めるものが見つかっていない。だから、仕事も辞めてしまうし、何かに当たる……。これって、誰もが経験したことがありますよね。たとえば、10代の時に思い描いていた20代の自分が、いざその年になってみると、まったく違っていて、焦る瞬間です。だから、自分に近い視点で見てもらえると思うんです。
水原:あと、この映画の見どころは、何といっても巨人と戦うために立体機動装置という武器を装着して、ワイヤでつって縦横無尽に空を飛ぶアクションです。ただ、これを演じるなら体をつくらなきゃと思い、オファーがあった瞬間から、クランクインまでの2カ月間、トレーニングをしました。まず、体を柔らかくしようと思って、整体に行ったり半身浴をしたり。同時にパーソナルトレーナーについてもらい、みっちり鍛えました。とくに立体機動装置は腰につけるので、腰回りは集中的に鍛えました。ミカサって腹筋が割れているので、私もムキムキにしたかったのですが、時間が足りませんでした(笑)。
三浦:希子ちゃんは、アクションシーンはすごく一生懸命やっているし、できないと「もう一回お願いします!」って、何度も繰り返してました。その姿を見ていて、なんて努力家で、負けず嫌いなんだろう、と感じていました。
水原:三浦さんは、いつもエレンや作品について真剣に考えてらっしゃって、ものすごく真面目でストイック。私が必死で頑張って、やっとできるようになったアクションも、余裕ですぐできちゃったので、超ショックでした(笑)。
三浦:本当、希子ちゃんは強さだけでなく、美しさも出さないといけないんで、大変だったと思います。
水原:今回、こんな大きな作品に携われて、プレッシャーがすごくありました。だけど、やり終えて、女優としてやっていく腹をくくれた気がしました。
三浦:この作品に参加させていただく中で感じたんですが、何かこう、どうしようもないことに立ち向かっていく姿は、どの時代も胸を打つんじゃないかなって思いました。
水原:それってある意味、永遠のテーマだと思います。誰でも、自分の目の前に立ちはだかる“壁”ってあるじゃないですか。ミカサやエレンたちが、壁の内側でただじっとしているだけの話だったら、そんなに感動しないんでしょうけど、彼らが外に向かっていき巨人と戦うストーリーだからこそ、みんな共感できるんだと思います。
三浦:巨人って、いろんなものを象徴した存在のような気がするんです。巨人には、圧倒的な存在感と恐怖があるけど、それって、僕らの生きる日常にも言えることなのかなって。人には、何かしら逃げられないものがあると思うし。
水原:そう。みんな葛藤や抱えているものがあって、つらい思いをしている人や傷ついている人、孤独な思いをしている人がいると思います。だけど、何がそれを救うかというと、仲間であり、最終的には愛だと思うんです。ミカサも最後には、すべてを受け入れ聖母マリアのようになっていきます。
三浦:“壁”って、意外と僕たちの身近にも象徴的に存在する気がします。たとえば、学校や会社の中だけが世界のすべてで、そこで起こることがすべてだと思い込んでいる人もいるかもしれない。だけど、壁の内側にいると、わからなくなることもたくさんあると思うんですよ。僕は、この作品は大迫力の映像を楽しむとともに、自分にとっての壁は何なのか、その壁を壊す突破口は何なのかを考えるのもおもしろいと思う。そういう人たちに刺さるメッセージがあればうれしいです。(構成/編集部・野村昌二)

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