一般患者の立ち入りを禁じたフロアに上がると、床が赤と緑に色分けされていた。赤は新型コロナの感染者が入院する「リスクゾーン」で、一般患者用の6病床を感染者用に変更。患者1人に3人の看護師がつくこともあり、収益部門の救急外来や健康診断の受け入れを制限して対応してきた。院内感染のリスクを避けるため、手術も縮小した。
その結果、4~5月の外来患者は前年より25%近く減り、5月の赤字は約1億円。受診を控える動きもあり、病院事務長は「昨年度も赤字で、この調子だと秋にも資金が底をつく」。国の補助は、軽症者受け入れで1床あたり1日1万6千円にとどまる可能性があり、「到底赤字。給与が払えず、医療スタッフが辞めれば第2波はもたない」と嘆く。
ただ、公立病院も医師不足による人件費高騰や、老朽化した施設の改修などで865病院の約6割(2018年度決算)が赤字で、そこにコロナ対応が重なり資金繰りが悪化している。北海道の留萌市立病院は4床の感染症病床に加え、一般病床44床をコロナ対応に回し、病床の稼働率は1割以上落ち、少なくとも約6億円の減収が予想される。外来患者も4月は前年比15%以上減った。江川雅信総務課長は「国は病床を空けることに伴う支援をすると言うが、それ以外が見えない」と心配する。
地方独立行政法人が運営する西日本唯一の特定感染症指定医療機関、りんくう総合医療センター(大阪府泉佐野市)は4月以降の赤字が10億円を超える恐れがあり、運営を支える市が17日からふるさと納税を活用したクラウドファンディングで寄付を募っている。重症・中等症患者用に当初は28床を確保。救急の受け入れを一時、重い3次救急の患者のみとした。病床の稼働率は19年度に平均92・7%だったが、4~5月は平均69・5%と2割ほど落ちた。千代松大耕(ひろやす)市長は「早急な経営の立て直しが必要」と話す。
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