2020年7月15日水曜日

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2年半ぶりの幕内に戻り、注目される照ノ富士(1月の初場所で)
2年半ぶりの幕内に戻り、注目される照ノ富士(1月の初場所で)
 大相撲7月場所(19日初日・両国国技館)に、2年半ぶりに幕内に復帰した元大関の照ノ富士(伊勢ヶ浜部屋)が臨む。数々の困難を乗り越え、史上初めて序二段から再入幕。「自信がなかったら相撲を取る意味がない。暴れてやろうという気持ち」と、土俵に立つのを待ち望んでいる。
 新型コロナウイルスの影響で稽古が制限されていた間、じっくり下半身を鍛えた。古傷の両膝が徐々に良くなり、四股やすり足に取り組めるようになったという。電話による代表取材に対し、「太ももが太くなり、お尻もちょっと出てきた。(長期休場から)復帰の時は四股も出来ない状態だった」と明かす。かつては自由奔放な受け答えが魅力でもあったが、もう28歳。不要不急の外出が制限されている状況にも、「ストレスは全く感じていない。それ以上のことを見てきているから」と動じることもない。
 照ノ富士のしこ名は、伊勢ヶ浜部屋出身の元横綱照国の「照」と、師匠の伊勢ヶ浜親方(元横綱旭富士)の「富士」が由来。23歳だった2015年夏場所で初優勝。場所後に大関に昇進し、横綱候補と期待された。
 しかし、両膝にけがが相次いだ上、糖尿病のほか肝臓や腎臓にも疾患を抱えた。休場が続いて番付は急降下。何度も師匠に引退を申し出たが、説得を受けて踏みとどまった。プライドを捨て、序二段だった昨年春場所で復帰。今年夏に開催予定だった東京五輪前の幕内復帰を胸に秘め、少しずつ筋力を戻しながら番付を上げた。「いい経験もでき、きつい時期もあって、色々勉強した」と振り返る。
 伊勢ヶ浜親方は「ここまできたら、やれるだけ頑張って」と見守る。東前頭17枚目の幕尻から再出発する照ノ富士は「乗り越えてきた自分だから言えることもある。我慢ということを相撲で伝えていきたい」。決意を胸に土俵へ向かう。(松田陽介)

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