「義実家に気に入られようとがんばる嫁ほど、関係を悪化させる傾向にあります」と話すのは、夫婦問題に詳しいキャリアカウンセラーの川崎貴子さんだ。“デキる嫁”だと思われたいがために姑の言うことを聞き続け、結局疲弊して、姑のことが疎ましくなるのだという。
「大切なのはスルーする力。明確な悪意を持ってお嫁さんと接するお姑さんは少数派です。たいていの場合、自分のやり方を変えるのが面倒だったり、社会性に乏しく空気が読めないだけ。お嫁さんは最初からできないことはできないと伝えることが大切。遠慮していると自分の首を絞めることになります」(川崎さん)
そんななか、なんとか姑を上手くかわす技を身につけた38才パート勤務の女性が、自身のエピソードを明かす。
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4才年上の夫とは、職場結婚でした。ところが、私が37才のときに夫はストレスからうつ病となり、退職。家賃が払えなくなって引っ越しを考えていたとき、お姑さんから「うちは部屋が余っているから一緒に住まない?」と提案されました。貯金も少なく、今後どうなるかもわからない。引っ越しの出費を抑えたかったし、お姑さんに夫や子供を見てもらえれば、私も働きに出やすいという打算もあって、その提案にのることにしました。
とはいえ、申し訳ないので、家事は私が担当することに。ところが1週間ほどで、「もうがまんできない!」とお姑さんがイライラを隠さなくなったんです。理由は私の家事のやり方について。
たとえば、窓ガラスの汚れを、薬剤で落とした後にかわいた雑巾で拭いていたら、「からぶきしたら傷になるでしょ。なんでそれくらいわからないの」にはじまり、「1食のメニューには10種類以上の野菜を使いなさい」「夫のおかずは1品多くしなさい」「風呂の湯温は37℃にしなさい」「洗濯物はタオルから干しなさい」「掃除機は夫の部屋からかけなさい」など、細かく姑のルールを押しつけてくるように。
「風呂水は温かいうちに洗濯に使いなさい」といった、理にかなっているものならいいのですが、わけのわからないルールも多いんです。こちらもイライラが募って顔を見るだけでストレスに。とはいえ、世話になっている手前、表立って衝突はしたくない。そこで編み出したのが、「姑撃退さしすせそ」です!
「さすが~」「知りませんでした~」「すごいですね~」「ぜひそうします!」「そうなんですね!」。これらの言葉を冒頭につけて笑顔で答えつつ、実際は自分のやり方を敢行。言うことは聞かないものの、従順に、かつ笑顔で対応し続けたので、姑も「あなたいつも口だけじゃない」とは言うものの、次第に妥協してくれるようになりました。
古代中国の兵法書『孫子兵法』に「戦わなければ、負けはない」といった内容が書かれていましたが、まさにその通り。嫌がらせにも笑顔で対応すると、家庭内もなんとなく明るくなって一石二鳥の倍返しです。
※女性セブン2020年9月17日号
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