【今週の“ぴかイチ” オリックス 吉田正尚】
筆者はこの夏、オリックスの主催ゲームを8試合ほど観戦したが、つくづく感心するのは吉田正尚の「迷いのなさ」だ。
左手を上げて審判を制するようなそぶりを見せて打席に立つと、吉田は投手を凝視し、迷うことなくフルスイングする。
中途半端にバットを振ることはなく、空振りもほとんどない。ファウルも少ない。ごくたまに綺麗な流し打ちを見せることはあるが、打球はほとんどがライナーでフェアグラウンドに飛ぶ。運が悪ければ野手の正面で捕球されるが、多くが安打になる。そしてボールを見逃すときには、2ストライクからでも自信をもって見逃している。
チームは監督が途中で交代するなど迷走しているが、吉田正尚は一片の迷いもないように見える。
月間打率を見ると吉田のすごさがわかる。
月間打率で見ると吉田のすごさが見えてくる。6月10試合
37打10安0本3点5四球3三振
率.270
7月27試合
95打34安7本19点24四球6三振
率.358
8月25試合
86打37安2本15点14四球6三振
率.430
9月6試合
22打10安2本10点3四球1三振
率.455
毎年スロースターターで、低調なことが多い吉田だが、今季もしり上がりに調子を上げている。8月は驚異的な打率.430、9月に入ってさらに加速して打率.455。24試合連続安打も進行中だ。
打率以外にも実は凄い成績って?
筆者はシーズン前に、今季の打率4割の可能性に言及した。この時に吉田正尚も候補に挙げたが、9月6日時点で通算打率は.379まで上がってきた。打率4割挑戦でよくあるのは、開幕直後から好調で4割をキープし、シーズン中盤になって失速するパターンだ。守りに入ってじりじりと打率を下げていくのだが、吉田正尚はシーズン半ばを過ぎて加速している。4割を守るのではなく、追いかけている。こちらの方が可能性が高くなる気もする。
今季の試合数は例年より約2割少ない120試合。規定打席も372打席と少ない。可能性は大いにあるのではないか。
ちなみに、吉田がすごいのは打率だけではない。
291打席に立ってわずか16三振と、規定打席以上では断トツの最少である。あれほどのフルスイングをしながら、めったに三振しないのだ。そして四球はリーグ5位の46。三振より四球が3倍近くも多く、そのうち敬遠は11。これもリーグ最多である。
ホームランバッターではないが、確実に安打を打つ吉田は、リーグの投手から一番恐れられているのだ。
中嶋聡監督代行になってから、オリックス・バファローズはチームの雰囲気が少し明るくなったような気がする。すでに“独自の戦い”になってしまっているが、「秋の吉田正尚」から目が離せない。
ロッテと西武は接戦を制して勝ち越し。
<9月1日から6日までの1週間の成績>【パ・リーグ】
○チーム成績
1ロッテ6試合4勝2敗0分 率.667
打率.244 防率4.17
1西武6試合4勝2敗0分 率.667
打率.241 防率3.63
3楽天6試合3勝3敗0分 率.500
打率.213 防率5.37
3日本ハム6試合3勝3敗0分 率.500
打率.294 防率3.00
5オリックス6試合2勝3敗1分 率.400
打率.246 防率3.74
6ソフトバンク6試合1勝4敗1分 率.200
打率.206 防率3.33
ロッテと西武は接戦をものにして4勝2敗の好成績をあげている。
前週6戦全勝だったソフトバンクだが、最下位オリックスに連勝を阻止されてから失速。主軸の柳田悠岐はロッテ戦でこそ2試合連続マルチ安打をした、打線が湿ってしまった。それとは対照的に日本ハムは打線が好調をキープしている。
日本ハム近藤も素晴らしい成績。
○打撃成績<最多安打>
10安打:吉田正尚(オ)、西川遥輝(日)
<最多本塁打>
4本塁打:グラシアル(ソ)
<最多打点>
10打点:吉田正尚(オ)
<最多盗塁>
3盗塁:周東佑京(ソ)、佐野皓大(オ)
<打率5傑(規定打席以上)>
1 吉田正尚(オ).455
2 近藤健介(日).421
3 西川遥輝(日).417
4 渡邉諒(日).391
5 ビヤヌエバ(日).350
<RC(打撃総合指標)5傑>
1 吉田正尚(オ)8.36
2 西川遥輝(日)6.31
3 浅村栄斗(楽)6.02
4 近藤健介(日)5.93
5 中田翔(日)5.92
冒頭に触れたオリックス吉田正尚の週間での成績を見てみると……22打数10安打1二塁打2本塁打10打点2盗塁4四死球という素晴らしいものだ。三振はわずか1個だった。
日本ハム近藤健介は8安打に加え8四球の16出塁だった。ソフトバンク周東は3盗塁で盗塁1位のロッテ和田康士朗に3差に迫っている。
山本由伸と高橋光成が見せた好投。
○投手成績<最多勝利>
1勝:上沢直之、有原航平、加藤貴之(日)/高橋光成、松本航、ニール、内海哲也(西)、石川歩、美馬学、二木康太、岩下大輝(ロ)/山本由伸、飯田優也(オ)、二保旭(ソ)/塩見貴洋、青山浩二、池田駿(楽)
<最多セーブ>
3セーブ:ブセニッツ(楽)
<最多ホールド>
3ホールド:平良海馬(西)、安樂智大(楽)
<最多奪三振>
10奪三振:ノリン(西)
<防御率(規定投球回数以上)5傑>
1 山本由伸(オ)0.00
1 高橋光成(西)0.00
1 二保旭(ソ)0.00
4 上沢直之(日)1.00
5 小島和哉(ロ)1.29
<PR(投手総合指標)5傑>
1 山本由伸(オ)3.01
1 高橋光成(西)3.01
3 上沢直之(日)2.87
4 二保旭(ソ)2.58
5 内海哲也(西)2.15
オリックスの山本由伸と西武の高橋光成は7回零封、ソフトバンク二保は6回自責点ゼロの好投を見せた。NPBで通算2試合目の西武ノリンも9月5日の日本ハム戦で6回10奪三振の快投である。救援では楽天のブセニッツが3セーブを挙げた。
DeNAと広島の投手陣が……。
【セ・リーグ】○チーム成績
1巨 人5試合4勝1敗0分 率.800
打率.256 防率2.66
2中 日6試合4勝2敗0分 率.667
打率.256 防率3.00
3阪 神5試合3勝2敗0分 率.600
打率.237 防率2.93
4DeNA6試合2勝3敗1分 率.400
打率.293 防率6.06
5ヤクルト6試合2勝4敗0分 率.333
打率.275 防率2.50
6広 島6試合1勝4敗1分 率.200
打率.266 防率7.30
投打のバランスが良かった巨人が4勝1敗と首位固めに入っている。中日がこれを追いかける。DeNAは防御率6.06、広島は7.30と投手陣が崩壊してしまった。
岡本、ソト、サンズ辺りが好調。
○打撃成績<最多安打>
10安打:倉本寿彦、佐野恵太(De)、エスコバー(ヤ)
<最多本塁打>
3本塁打:ソト(De)、サンズ(神)
<最多打点>
10打点:ソト(De)
<最多盗塁>
1盗塁:ビシエド、大島洋平(中)、廣岡大志(ヤ)、近本光司、陽川尚将、植田海、江越大賀(神)、増田大輝(巨)
<打率5傑(規定打席以上)>
1 岡本和真(巨).500
2 木浪聖也(神).444
3 倉本寿彦(De).435
4 佐野恵太(De).417
5 柴田竜拓(De).412
<RC(打撃総合指標)5傑>
1 岡本和真(巨)6.66
2 柴田竜拓(De)6.45
3 佐野恵太(De)6.08
4 ソト(De)5.96
5 丸佳浩(巨)5.32
巨人・岡本和真は16打数8安打1二塁打2本塁打5打点。DeNAソトは22打数5安打ながら1二塁打3本塁打で10打点。極めて勝負強かった。
阪神サンズは2週連続で3本塁打と、量産体制に入っている。
中日投手陣は大野雄大以外も!
○投手成績<最多勝利>
1勝:大貫晋一、京山将弥(De)/大野雄大、又吉克樹、福谷浩司、R・マルティネス(中)/今村信貴、サンチェス、田口麗斗、デラロサ(巨)/小川泰弘、石山泰稚(ヤ)/西勇輝、スアレス、岩貞祐太(神)/野村祐輔(広)
<最多セーブ>
1セーブ:三嶋一輝(De)/スアレス、岩崎優(神)/近藤一樹(ヤ)/デラロサ(巨)/R・マルティネス、木下雄介(中)
<最多ホールド>
2ホールド:平田真吾、伊勢大夢、石田健大(De)、清水昇、マクガフ(ヤ)/祖父江大輔(中)
<最多奪三振>
11奪三振:大野雄大(中)
<防御率(規定投球回数以上)5傑>
1 大野雄大(中)0.00
1 福谷浩司(中)0.00
3 大貫晋一(De)1.00
4 今村信貴(巨)1.13
4 小川泰弘(ヤ)1.13
<PR(投手総合指標)5傑>
1 大野雄大(中)4.13
2 福谷浩司(中)3.52
3 大貫晋一(De)3.13
4 今村信貴(巨)2.67
4 小川泰弘(ヤ)2.67
中日の大野雄大が5試合連続完投となる完封勝利を挙げ、同じく福谷は7.2回を零封のナイスピッチング。DeNA大貫は9回自責点1の完投勝利を挙げた。救援投手ではDeNAの平田、伊勢、石田がそれぞれ2ホールドをあげている。
週間MVPを選んでみると……。
【まとめ&記録備考】メジャーリーグのように両リーグ、打投の週間MVPを選出するとすれば、以下のようになるだろう。
パ
打:吉田正尚(オ)
投:山本由伸(オ)
セ
打:岡本和真(巨)
投:大野雄大(中)
9月6日、オリックス安達了一が、史上44人目の200犠打を達成。
阪神は13連戦の予定だったが、6日の試合が台風の影響で中止となって一息つけた。しかしその付けは、シーズン終盤に回ってくる。いずれにしても過酷なスケジュールだ。
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