2020年8月14日金曜日

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高齢者施設 万全のコロナ対策を講じたい


 高齢者施設は新型コロナウイルス感染拡大のリスクが高い。介護崩壊を招かぬよう、政府や自治体は万全の体制を整えることが大切だ。

 食事や入浴、排泄はいせつなどの介助は、職員と利用者が密着せざるを得ない。認知症の人は、マスクを適切に脱着したり、体調悪化を伝えたりすることが難しい場合もある。高齢者施設はもともと、感染が広がりやすい条件にある。

 各施設は、消毒液や防護服を準備した上で、こまめに職員らの検温を行うといった予防策を徹底したい。職員に対して予防教育を行うとともに、感染症専門家を交えて発生時の対処方針を決めておくことが有効だろう。

 集団感染が起きた場合、自治体が医師らを派遣するとともに、職員や利用者に対して速やかにPCR検査を実施するなど、手厚い初動体制を構築する必要がある。

 重要なのは、感染者が出ても、施設の機能をできるだけ維持し、利用者に対するサービスの提供を継続することだ。

 感染者と濃厚接触した職員が出勤できずに人手が不足し、介護に支障が出た施設は少なくない。

 神奈川県は、応援可能な介護職員をあらかじめ登録し、感染者が出て人員不足となった施設に派遣する制度を整えた。県が人件費を補助する仕組みだ。

 各自治体はこうした例を参考に、地域の実情に即した効果的な手法を検討すべきである。

 政府は感染拡大を防ぐため、緊急時を除き、利用者と家族らとの面会を制限するよう施設に求めている。通信環境の整備費を助成し、インターネットによる「オンライン面会」の導入を促す方針だ。

 一時的な面会制限はやむを得ないが、高齢者が張り合いをなくして、心身機能の低下を招く懸念も指摘される。様々な工夫で利用者の不安を和らげてほしい。

 介護サービスを維持するには、職員の処遇改善が急務だ。人手不足と感染の不安が重なって限界を感じ、離職する人も目立つ。

 政府は今年度補正予算で、介護従事者に最大20万円の慰労金を支給する仕組みを設けた。感染者が出た施設の職員や利用者に対し、差別や偏見があってはならない。社会全体でしっかりと介護を支える取り組みを続けたい。

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