2020年8月14日金曜日

                  8月14日 編集手帳

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 関西在住の作家、田中啓文さんには行きつけの喫茶店があり、仕事もそこでする。しかし夏はちょっと困るのだとエッセーに書いている◆あるとき年配のマスターと年配の客が次のように話すのを聞いた。「クーラーの風は体に悪いさかいなあ」「そやそや。年寄りの身には毒や」。田中さんは暑がりなのに、冷房を利かせてくれないという◆クーラーが嫌い、もしくは苦手とする年配の方は、どうか親しむ工夫をして乗り切っていただきたい。熱暑が続き、エアコンのスイッチを切った部屋で亡くなって見つかる高齢者が相次いでいる◆思えば、「クーラーは体に悪い」は盛夏のあいさつのようにもなっている。以前、娘への手紙にそう書いてくるお母さんの話を本紙への投稿で読んだことがある。風邪を引かないか、心配してのことだろう。小欄の祖母も生前、へそを冷やさないようにとよく言っていて、感謝の気持ちとともに思い出す。とはいえ、長くなじんだ冷房観が変えられず、スイッチを切る方が少なくないのは確かだろう◆用心すべきは日中ばかりではない。未明の気温が30度近い地域が続出している。

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