2020年8月27日木曜日

写真はイメージです Photo:PIXTA© ダイヤモンド・オンライン 提供 写真はイメージです Photo:PIXTA 緊急事態宣言が解除された今も、「感染の可能性があるため、スポーツジムには行きにくい」と、考える人は多い。その代わりに自宅でできるオンラインフィットネスがブームになるなど、運動機会が減ったことで人々の健康意識はさらに高まっている。この盛り上がりとともに注目されているのが、体重だけでなく体脂肪率や筋肉量、内臓脂肪などまで分かる家庭用の体組成計だ。体の変化を日々観察したいというニーズにあわせて、各メーカーからさまざまな特徴を持った商品が発売されている。家電量販大手ノジマの商品部に、体組成計の現在のトレンドについて聞いた。(清談社 中村未来)

健康ブームのきっかけには
メタボリックシンドロームがあった

ここ数年、健康意識の向上によってフィットネス業界は大きな盛り上がりを見せていた。施設数も年々増加し、2018年の業界売上高は4786億円という過去最高値を記録した。そんな健康ブームに火を付けたのは「メタボリック症候群」、通称・メタボだったようだ。ノジマ商品部の下田妃恵氏は言う。
「メタボという言葉が浸透したことで、体脂肪率や内臓脂肪を気にする方が増え、そこから徐々にフィットネスへの意識が高まっていったように思います」

「メタボ」という言葉は、内臓脂肪型肥満、高血糖・高血圧・脂質異常症のうち2つ以上の症状が一度に出ている状態を指す。05年あたりに登場すると、翌06年には「ユーキャン新語・流行語大賞」でトップ10入りを果たすほど注目された。言葉が定着してからは、「メタボ予防のために」と、フィットネスに通う人も増えた。
「その昔は、スポーツジムやフィットネスジムは一部の健康意識が高い人だけが行くもの、というイメージでした。しかし最近は、月々の費用もだいぶ安くなった上に、24時間営業のジムが増えたことで、それぞれの生活スタイルに合わせたトレーニングが可能になりました」
 メタボ予防の概念が定着し、ジム通いをする人が増えたせいか、今度は若い世代の健康に対する意識が変わってきた。糖質制限など、食生活を変えることで体の内側から健康を作っていくブームが起きたのだ。
「最近では、ただ痩せるのではなく、『健康的で、美しいボディラインを手にしたい』という意識が高まっており、男性も女性もアスリート並のトレーニングをする人が増えています。体重を減らすよりも、筋肉量を増やすことが昨今のボディメイクのトレンドになっているようです」
 健康と美容のため、性別関係なくどの世代も体づくりへの関心が高まっているのが、今の時代と言える。
 体重や体脂肪だけが健康の判断基準ではないと認知されるようになったことで、筋肉量や基礎代謝量、骨密度なども注目されるようになった。そこでヘルス機器メーカーは、精密な健康管理が家でもできるようにと、精度の高い体組成計を開発するようになる。体組成計が進化した背景には、こうした人々の健康への意識変化があったのだ。

体組成計のトレンドは
スマホ連動型

体組成計にはトレンドがあり、特に最近は3つのポイントが重視されている。1つ目はサイズ感だ。
「従来の体組成計は、大きめで仰々しいデザインのものが多かったのですが、最近はコンパクトなものが主流です。家のインテリアに合うようなデザイン性に凝ったものも増えました」
 2つ目は機能性。最新の体組成計は、一昔前よりも格段に性能がアップしており、アスリート並に体を鍛える人に向けて、体脂肪率や骨密度のほか、筋肉の質や部位別の筋肉の重さなど、測定できる項目もかなり増えている。
 そして3つ目が、スマートフォンと連動できるモデルだ。体組成計で計測したデータをアプリ内で管理できる機種の人気が高まっている。
「スマホ連動型の機種なら、日々の体の変化をアプリ内で確認できます。オムロンからは、体組成計のほか血圧計、活動量計もスマホと連動できるものが発売されています。エレコムからもスマホ連動型のEMS(電気筋肉刺激)機器が発売されており、今後さまざまな健康商品がアプリと連動できるようになっていくと思われます」

他業界も注目する
健康ヘルスアイテム

コンパクトタイプ、多機能、スマホ連動型の3つが最近の体組成計のトレンドではあるが、すべてを兼ね備える必要はない。下田氏は、「自分がどんな体づくりをしていきたいか、目的に合わせた選び方」を提案する。
「基本的にメーカーは、『ダイエット用』『トレーニング用』など、目的別の売り出し方はしていません。ですが、機種の性能を見ると、減量向きであったり、アスリート向きであったりと、それぞれ特徴を持っています。『ダイエット』や『筋肉量増加』などキーワードを絞り、量販店などに行って直接店員に聞いてみるのが一番だと思います」
 たとえば、タニタの「EW-FA24」は、減量を目的にしている人向きの機種。1カ月の減量目標を入力することができ、測定値から目標までの数値をカウントダウン表示してくれる。
「前回の測定時よりも体重に一定の減少があった場合は液晶画面にキラキラマークが表示されるので、モチベーションにもつながります。同じくタニタの『BC-316』という商品は、50g単位で体重を測定できるため、より細かく体重管理をしたいという人に向いています」
 健康診断で内臓脂肪を指摘されたなど、体の内側の健康が気になるという人には、エレコムの「HCS-FS01」がおすすめだ。筑波大学との共同開発であるこの商品は、MRI(磁気共鳴画像装置)の技術を用いて内臓脂肪を計測できる。より正確に内臓脂肪レベルの評価ができるとあって、業界内でも話題となった。計測した日々のデータは、アプリで記録できる。
「そもそもエレコムは、コンピュータ周辺機器を取り扱うメーカーです。MRI技術を取り入れたり、スマホアプリと連動させたりするのも自社の強みを活かしたエレコムならではの商品。こうした他分野の企業が参入してくる可能性があるのも、フィットネスやヘルス業界の注目ポイントかもしれません」
 単なる減量や健康維持ではなく、もっと本格的なトレーニングでアスリート並みの体づくりをしたいという人は、タニタの「RD910」がいいと下田氏。
「筋肉の質を『筋質点数(*)』という形で測定してくれます。筋肉の量だけでなく、その質を測定することで体の状態を詳細に把握できるのです。値段もそれなりですが、筋肉の質を重点的に見ていきたいという人には、満足度の高い商品だと思います」(*「筋肉点数」はタニタの商標)
 自粛期間中の体づくりに、最新技術を用いた体組成計を取り入れてみてはどうだろうか。

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