2020年8月24日月曜日


 1回限りの「お試し」のつもりが、継続的に商品を購入する契約になっていた。そんなトラブルが後を絶たない。不当な販売手法の規制を強化しなければならない。昨年、こうした商法に対する相談が全国の消費生活センターに約4万4000件寄せられた。4年間で10倍以上に増えた。健康食品や化粧品が多く、9割以上をインターネット通販が占めている。
 「初回無料」「お試し500円」などとネット上の広告で強調する一方、「4回以上の購入が必要」といった条件を小さな文字で記載しているケースが多い。スマートフォンの画面を何度も移動させないと表示されない場合もある。
 消費者を誤解させて、意に反した契約を結ばせようとする悪質な手法だと言えよう。
 苦情を申し立てても、契約を盾に突っぱねたり、解約に応じる場合でも高額の解約料を請求したりする業者が少なくない。「解約は電話でしか受け付けない」とうたいながら、そもそも電話がつながらないケースもあるという。
 消費者庁の有識者検討会は、こうした商法の規制強化を求める報告書をまとめた。消費者庁は、取引の適正化を図る特定商取引法の改正を目指す方針だ。
 継続的な購入であると明示しなかった場合に罰則を科せるようにすることや、解約を不当に妨げる行為の禁止を盛り込むことなどを検討するという。実効性ある規制に結びつけてもらいたい。
 問題があるサイトの監視を強化することも大切だ。その上で、悪質な事例を紹介し、消費者が被害に遭わないよう、留意点などを情報提供すべきだろう。
 ネット通販の利用は近年、拡大している。コロナ禍で外出を控える現状では、その傾向がさらに強まっている。取引の信頼性を向上させることが急務だ。
 消費者側も慎重な契約を心がけたい。ネット通販は、一定期間内なら契約を解除できるクーリングオフの対象外だ。契約内容を十分確認し、解約や返品の条件を理解した上で購入する必要がある。
 ネットでは、ボタンをクリックすれば簡単に注文できる。契約を交わしている意識が希薄になってしまう人も多いのではないか。
 若年層はスマホを使う機会が多く、被害の増加が懸念される。
 2022年には成人年齢が18歳に引き下げられ、親権者の同意を得ずに契約が結べるようになる。学校現場などで消費者教育を充実させることが重要だ

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