「腰は体の要」実感、正しい歩き方は「へそ下」から
フレイル予防で歩き始める前に、歩き方をチェックしましょう。誤った歩き方だと、思わぬ悪影響が出ることも。整形外科医の金岡恒治・早稲田大教授(スポーツ医学)に、久保晶子記者(60)が聞きました。
最初に普段の歩き方を見てもらいました。「腰が少し左右に回っています」。そう言われ意味を尋ねると、前に出した左脚と一緒に骨盤の左側も前に出てしまっているそうです。右脚の場合も同じです。
金岡さんによると、片方の脚を上げた時、左右の腰の位置が上下にずれ、骨盤がぐらつく状態になると、腰に負担がかかります。放っておくと将来、背中が曲がって、杖 なしに歩けなくなったり、寝たきりに近づいたりしてしまいます。
寝たきりになってしまうと、フレイルを通り越して要介護の状態です。フレイルにならないための歩き方の注意点は、下腹部に力を入れる、大股を意識する――の2点です。
へその下を意識して力を入れると、おなかの中をコルセットのように包み込む筋肉と骨盤を覆う筋肉が同時に働き、骨盤のぐらつきを抑えられます。骨盤が安定することによって、歩幅も自然と広がります。
最初はうまくできませんでしたが、何回か繰り返すうちに効果を感じられるようになりました。「いったん身に付ければ自然とできるようになります。普段から続けてみてください」と助言を受けました。
そういえば、趣味で習っている踊りのインストラクターからも、腰を意識するようにと指導されたことを思い出しました。「腰は、字を見てわかる通り、体の要に当たります」。金岡さんの言葉に大きくうなずく自分がいました。
運動の目安は「軽く息が上がる程度」
高齢者がフレイル予防の運動を安全に行うには、事前の準備が大切になる。
国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)の理学療法士長、伊藤直樹さんによると、筋力を高めるには一定の「きつさ」が求められる。ただし、きつすぎると後で筋肉痛が起き、運動を続けられなくなることがある。人によっては不整脈を招く恐れもある。軽く息が上がる程度が目安という。
もともと膝が痛い人はポールを使った歩行や水中ウォーキングなど、膝への負担が少ない方法で行う。糖尿病の人は低血糖による意識障害などを防ぐため、食前の運動を避ける。伊藤さんは「かかりつけ医に運動の強さや注意点を聞いてから始めてほしい」と助言する。
ウォーキングでは、靴選びも重要だ。同センター副看護師長のサブレ森田さゆりさんは、ひも付きで底が滑りにくいスニーカーを薦める。親指の爪が圧迫されないように、爪先周辺の幅が広めであることもポイントだ。扁平 足の人は足を痛めやすいので、中敷きを入れ、土踏まずの場所を支える方法がある。
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