2020年7月31日金曜日


         7月31日 編集手帳 



 かつて本紙九州版に次の方言俳句を見かけたことがある。<盆帰省いっすんずりにつかれけり>。いっすんずりは大分の方言で、漢字にすると「一寸摺り」。車の渋滞のことだという◆「きょうはいっすんずりじゃったのう」。ぼやくときによく使うらしい。渋滞と言ったほうが早い気もするが、タイヤが地面をるようにちょっとずつしか進まない気だるさをそこに込めると聞いて、なるほどとうなずく◆今夏のお盆の渋滞はどうなるだろう。大分では豪雨の爪痕が各地に残る。復旧に大変なところに感染症を運んでしまってはと、悩む方がいるにちがいない◆同じく豪雨の被災地・熊本県八代地域の感染例がやるせない。50歳代の小学校教諭の男性である。家族の無事を確かめる帰省だろうか。大阪から帰った姉と会食したのち、とうの姉、母とともに感染が確認された。男性の勤める小学校は臨時休校になった。地域への影響は少なくないが、悪い人は一人もいない◆その時しかない家族や友人へのお見舞いで思いがけない事態になるのは、コロナ対策の心がけとは関係なく起こり得ることだろう。

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