白鵬連敗 新旧大関 1敗守る
大相撲7月場所12日目(30日・両国国技館)――白鵬が痛い連敗。土俵際で御嶽海の突き落としに屈し、2敗に後退した。朝乃山は北勝富士を力強いすくい投げで退け、玉鷲を寄り切った再入幕の照ノ富士とともに、2人が1敗でトップ。貴景勝がこの日から休場し、不戦勝ちの小結大栄翔は勝ち越した。
[やぐら太鼓]朝乃山、照ノ富士きょう対決
白鵬のまさかの連敗で、思いがけない展開になった7月場所。元大関で幕尻の照ノ富士と新大関の朝乃山が1敗で首位に並び、ついに直接対決が組まれた。
照ノ富士は激しい一番を制した。ベテラン玉鷲の突き押しをこらえ、張り手の応酬となっても、落ち着いていた。右からのおっつけで相手を崩し、一気に勝負をつけた。「(激しい相撲は)想像していたので、冷静に行こうと思っていた」。序二段から復活して再入幕を果たした場所でいきなり優勝争いを演じているが、「明日の一番に集中する」と気持ちの高ぶりを感じさせずに話した。
朝乃山も豪快な勝ちっぷりだった。得意の左上手が取れずに北勝富士を攻めあぐねたが、右からのすくい投げで力強く裏返した。
朝乃山と照ノ富士は初顔。八角理事長(元横綱北勝海)が「右四つ勝負だろうね。上手を浅く取った方が有利」と指摘するように、互いに得意の左上手を取って主導権を握れるかが勝負の分かれ目となりそうだ。
朝乃山が「元大関の先輩だし、胸を借りるつもりで思い切りいく」と語れば、照ノ富士は「冷静に自分の出来ることをやるだけ」と繰り返した。上り調子の新大関と、どん底からはい上がった元大関。実に見応えのある一番となる。(松田陽介)
土俵際横転 足をけが?
2敗に後退したが、朝乃山、照ノ富士との直接対決も予想されるだけに逆転の可能性は十分ある。だが、足の状態次第でにわかに暗雲が漂ってきた。今年初場所は連敗した翌日から途中休場に追い込まれている。果たして綱の重責を果たすことはできるのか。
カド番脱出 貴景勝休場
前日、カド番脱出を決めていた大関貴景勝が12日目から休場した。師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)によると、場所前の稽古で痛めた左膝が中盤戦から悪化、本人が11日目の取組後に休場を申し出た。相撲協会には、左膝内側側副靱帯 損傷で「約4週間の治療期間を要する見込み」との診断書を提出した。
師匠は「相当痛みがあったようだ。我慢してやっていた。治療に専念する」と説明。2差で追っていた優勝の可能性を残す中での休場に、「本人も悔しいと思う」と話した。貴景勝の休場は、右膝のけがで全休した昨年名古屋場所以来。
[ちから水]「休場は試合放棄」
貴景勝の精彩を欠いた取り口を前半戦から見ると、この結末は全く予想外ではなかった。とはいえ、こうもあっさり土俵に見切りをつけられると、15日間を務め上げることの「重み」について考えてしまう。
力士たちにとって、本場所の15日間は命を懸けるにも等しい神聖な舞台だ。土俵に立つことに存在意義があり、休場は成績上黒星と同じ扱いではあるが、「全休」よりも「15戦全敗」の方を評価する親方衆もいるほどだ。
けがは不可抗力だから責められない。だが、2日目から突然休場した鶴竜もそうだが、カド番脱出の翌日の休場には何としてでも土俵を全うする強い思いは感じられない。かつて「休場は試合放棄」と言って土俵に立ち続けた元大関魁傑(元放駒親方)の言葉は今や死語に近い。(上村邦之)
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