【独自】「疲れ」「だるい」ツイート急増、長期休校明けで心身に変調か…STOP自殺 #しんどい君へ
NTTデータ(東京)が2年間の生徒・学生の学校に関するツイート約4億件を分析したところ、今年6月に全国で学校の再開が始まって以降、「疲れ」「だるい」といった投稿が急増していることがわかった。新型コロナウイルスの影響で、学校は約3か月間の長期休校を余儀なくされ、大学もオンライン授業が続いており、そうした反動が若者の心身に表れている実態が明らかになった。
13~22歳の4億件を分析
調査の対象は、2018年7月~今年6月末の2年間。生徒・学生(13~22歳)のツイッター上での投稿を、同社の解析システム「なずき」で読売新聞社とともに分析した。
2年間に生徒・学生が「学校」や「中学」「高校」「大学」「授業」などでツイートしたのは計約4億件。この中で、前向きなことも含め、心身の変調に触れていたのは約350万件あった。そのうえで、(1)春休み(2)ゴールデンウィーク(GW)(3)夏休み(4)冬休み――の四つの長期休暇明けの平日5日間で、どのような内容が何件投稿されたかを調べた。
「オンライン授業で大量の課題だるい」
顕著だったのは、「疲れ」「だるい」という心身の不調を訴えるツイートの増加だった。全国的に分散登校などが始まった6月1~5日では、「疲れ」に関するツイートは8855件。長期の休暇明けでは19年春休み明けが3613件と多いが、半数以下だった。前年同期(19年6月)は1401件であり、大幅に増えたことがわかる。
また、「だるい」についても、6月1~5日では4302件と2年間で最多で、「疲れ」と「だるい」を合わせた計1万3157件は、19年の春休み明け(計6123件)の2倍以上だった。
実際に生徒・学生が一斉休校明けに投稿した内容は、「登校前はだるいし、下校の時は疲れが出てくる」「オンライン授業で大量の課題だるい」などと、心身への負担感を吐露している。
長期休暇明けは自殺者増加傾向
国の統計では、長期休暇明けは若者の心身に様々な影響を与えるため、自殺者が増える傾向にあることがわかっている。6月以降、各地で若者の自殺の事例も出ており、心身の負担感が高まっている可能性もある。
95%の地域で夏休み短縮
本来ならば、7月下旬からは多くの学校で夏休みに入る。だが、文部科学省が全国1794教育委員会を調査したところ、今年は95%の地域で夏休みが短縮され、「20日以下」が7割にも上ることが明らかになった。最も短い小中学校は「9日間」(小学校105教委、中学校139教委)、高校は4日間(1教委)だった。小中学校の教室へのエアコンの設置状況も、地域によっては低いところもある。猛暑の中、感染予防策を講じながら授業を受けなければならない児童・生徒も多数いる。
そのため、若者の心身にこれまで以上の負担がかかり、高いストレスを抱え込んでしまうおそれも指摘されている。
卒業式や入学式なく、友人とも会えず…
若者の心情に詳しい新潟青陵大の碓井真史教授(社会心理学)の話「突然の一斉休校により卒業式や入学式がなくなり、実家にすら戻れなかった学生も多く、自粛期間も長く続いた。ただでさえ心身の調子が狂いやすい春の時期に休校となり、友だちとも会えずに先の見えない状況の中、生徒や学生は、様々な変化に対し、その都度適応しなければならず、二重三重のストレスが重なった。例年の五月病などとは種類が異なり、若者の言葉で表現するなら『マジ』な愚痴だろう。友人とも会えず、ツイッターではき出すしかない若者も少なくなかったと考えられる。大人は、ツイッター上に多くつぶやかれた『疲れ』や『だるい』といった心身への負担について、若者には大きな負荷がかかり、深刻なストレスにさらされているということをしっかり理解し、見守り、対応する必要があるだろう」
若者の「SOS」見逃すな
約4億件のツイート解析からは、心身に大きなストレスを抱えた若者が、新型コロナウイルスの影響を受け、多くの「SOS」を発信している実態が浮かび上がった。感染拡大で学校は長期休校になり、9月入学議論に翻弄(ほんろう)され、大学はキャンパスへの入構制限が続く。
近年、全世代の自殺者数は減少傾向だが、未成年者だけはこの3年間増えている。そのため、学校現場では、困難やストレスに直面したら周囲に相談する「SOSの出し方教育」の重要性が指摘されている。
国の統計では長期休暇明けは自殺者が増える傾向にあることがわかっている。若者は「しんどい」「つらい」と感じたら、迷わずに周囲に助けを求めてほしい。学校や家族、地域社会はそのサインを見逃してはならない。(教育部 鯨井政紀)
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