「怖いから帰ってこないで」、新型コロナで夏の帰省どうする?


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新型コロナウイルスの感染拡大で、今年の夏休みは例年と違う様相です。感染者数の多い地域に住んでいる人は、帰省先から歓迎されず、人混みをできるだけ避けるため、外出や旅行を見合わせる人が少なくないようです。せっかくの夏休みを楽しく過ごすには、どんなアイデアがあるのでしょうか。読売新聞の掲示板サイト「発言小町」の投稿からピックアップしました。

高齢の親に感染させたくない

「一人で過ごす夏休み」のタイトルで投稿してきたのは、首都圏で一人暮らしをしている40代独身女性。例年は近県にある実家に帰省していましたが、新型コロナ感染拡大を受けて、今夏はしばらく見合わせることに。「そろそろ会社に夏休みの申請をしないといけないのですが、どう過ごしたらよいのか、いい案が思いつきません」と打ち明けています。
これに、「私もそうです」と返信したのは、同じく独身女性の「ミイ」さん。勤務先では5日間のお盆休みが取れますが、「高齢の親への感染が怖い」と帰省を諦めました。「1日だけは運転免許の更新に当てることにしました。ずっと家にいるのも飽きる気がするし。感染が増えてきているので、誰かを誘うのも気が引けます」とつづります。

「怖いから帰省しないで」と言われ

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家族がいる人も、休みの過ごし方の悩みは同じです。関西に住む「こにし」さんは、実家のある東北に飛行機で帰省するつもりで飛行機を手配していました。ところが、親から「怖いから帰省しないで」と言われ、2日前にキャンセルしました。「夏休みは、ぼんやり子供と……近くでお遊びでしょうか。今は我慢我慢ですね」
都内在住で、小学生と幼稚園児の子供がいる「ミミミ」さんからも、「今年の夏休み、何しますか?」という投稿がありました。今年は、地域のお祭りは中止が決定。「コロナ感染が拡大しているので、人が集まる場所には行きたくありません。また3月、4月の休校中と同じような過ごし方になってしまうのか。アイデアを絞って“お家遊び”もやり尽くした感があります……」

午前中授業のある学校も

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この投稿に、「海大好き」さんから「今年の夏はダラダラと(学校の)午前中授業が続きます。(子どもは)炎天下を30分もかけて歩いて帰って来るので、かき氷やスイカ、流しそうめん、プールなど、夏を楽しめそうなものを用意しておいてあげようと思います」というレスがありました。学校側も遅れを取り戻そうと懸命なのかもしれません。
「新盆を迎えるにあたって」のタイトルで投稿したのは、「ぎんねこ」さん。今年は、義父の新盆。しかし、コロナの影響で、「お寺さんの読経は代表で役員が受けるだけ」になるそうです。8月12日にお墓参りをして、白い盆提灯ぢょうちんを軒先につるし、13日の「迎え火」から16日の「送り火」まで、「嫁として、家で一生懸命お勤めする所存です」ときっぱり。
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例年トップの帰省が今年は4位に

線香メーカーの日本香堂が、6月下旬に全国の成人男女1036人に実施した「コロナ自粛による生活者意識の変化」の調査では、「計画・実施したい」夏休みの過ごし方は、<1>「近場のお出かけ」(69.4%)、<2>「お墓参り」(51.2%)、<3>「日帰り旅行」(43.5%)の順となりました。例年の調査だとトップを占める「帰省(親族の帰省を迎え入れることを含む)」は37.3%で、4位に順位を下げました。
「帰省」について、「今夏は自粛すべき・迷い中」と答えた296人に対し、帰省の代替行動について聞いたところ、「会えない家族と電話やメールでコミュニケーションを取りたい」(51.0%)、「画像や動画でコミュニケーションを取りたい」(38.5%)、「帰省土産を渡せない代わりに夏ギフトやお盆のお供え物を送りたい」(34.8%)でした。離れて暮らす家族との何らかの心のつながりを重視している人は少なくないようです。

「オンライン帰省」もブームになる?

政府がビデオ通話を使った「オンライン帰省」を推奨すると発表したのはゴールデンウィーク直前のことでした。ただ、高齢者は、家にインターネット環境がなかったり、機器の操作に不慣れだったりすることも多く、オンライン帰省はハードルが高いかもしれません。
こうした中、ネット環境がない場合でも、テレビに専用の受信機器を付けて、子供や孫がスマートフォンで撮影した動画や写真をテレビに映し出すサービス「まごチャンネル」が人気を集めています。
「まごチャンネル」の視聴イメージ(「チカク」提供)
運営する「チカク」(東京・渋谷)によると、月額1480円(税別)のサービス利用料のほか、専用の受信機器代(1万9800円=税込み)がかかりますが、専用機器の出荷台数は現在、累計1万台以上に達しています。今年1~3月の出荷台数は前年比2倍以上、4月~6月の出荷台数も前年比3倍以上を記録したそうです。
本当は顔を合わせて、楽しく交流したいけれど、今は我慢……。そんな人たちにとっては、日々の暮らしの中で夏休みをどんなふうに演出できるのか、知恵の出しどころかもしれません。
(読売新聞メディア局編集部 永原香代子)