慢性頭痛<1>服用のタイミングを知る
大きな病気が隠れているわけではないのに、繰り返し起こる慢性頭痛。国内で4000万人が悩まされていると言われる。慢性頭痛は、月に数回、脈打つ痛みが発作的に起こる「片頭痛」、目の疲れなどから始まり、頭の重さや締めつけられる感じがある「緊張型頭痛」、目の奥がえぐられるような痛みが数時間続く「群発頭痛」の三つに大別される。
とりわけ片頭痛は20年ほど前、痛みの発生メカニズムに効く薬として「トリプタン製剤」が登場し、苦しむ患者の生活を大きく変えた。すっかり定着した今、効果的に使うための「コツ」をつかもうと、患者それぞれが工夫している。
埼玉県川口市の会社員、五十嵐直美さん(46)は、小学生の頃から40年近く頭痛に悩んできた。授業や仕事の最中に症状が出て、その後、吐いて寝込むこともあった。30歳代で片頭痛と診断され、トリプタン製剤の服用を始めた。
市販の鎮痛薬では、頭の芯に痛みが残る感覚があったという五十嵐さん。トリプタン製剤を服用すると、15分後に痛みがスッと消えた。一方で「飲むタイミングや体調によって効かない時があることもわかった」と振り返る。
片頭痛は、脳の血管近くを走る
トリプタン製剤は、広がった血管を元に戻す。悪循環に陥る前の服用がカギだ。埼玉精神神経センター(さいたま市)で埼玉国際頭痛センター長を務める坂井文彦さんは、「ひどくなると、薬を飲んでも体に吸収される前に、薬ごと吐いてしまうことがある。服用のタイミングを自分で知ることが重要だ」と話す。
坂井さんは、専用の日記「頭痛ダイアリー」をつけることを勧める。痛みを3段階に分けてチェックするため、自身の特徴をつかみやすい。五十嵐さんの場合、〈1〉軽い痛みはあるが動ける〈2〉横になりたい、テレビさえ見たくない〈3〉吐いて動けない――の三つに分類。〈1〉と〈2〉の中間で薬を飲むことにしているという。
運動をしたり、コーヒーを飲んだりすると、症状が軽いうちは改善することもある。ミント味のガムですっきりさせるのも、痛みが出そうな時にやってみる自分なりの対策だ。それでも月経前などは、ひどい片頭痛が起きやすい。
五十嵐さんは「効かないことに悩むと、治療に後ろ向きになってしまう。だからそんな日は、『今日は休む日』と気持ちを切り替えています」と話す。
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