例年であれば、今頃は観光シーズンの沖縄。しかし新型 コロナウイルスの感染者が急増していることを受け、県は独自の緊急事態宣言を発出。玉城デニー知事は5日、本島から離島まで県全域に渡って範囲を拡大すると発表した。
そんななか、沖縄県で宿泊施設や飲食店を営む人たちは……。
◆コロナ感染者が急増中の観光地・沖縄では…
「東京からのお客さんは、GoToキャンペーン除外の影響でほぼキャンセルに。大阪や名古屋、福岡からくるお客さんには、なんとか来てくれという思いでやってます。感染のリスクと言われてもね……」
沖縄県の某離島でリゾートペンションを運営する伊藤文夫さん(仮名・40代)はこのところ、朝一で到着する便を待ち、客を車に乗せて、ペンションまで送る日々。以前はこうした送迎サービスは行なっていなかったというが……。
「地元の方に見られたらなんと言われるのか。車にもスモークフィルムを貼って、中が見えないようにしてるんです。ペンションまで着いたら、目の前のプライベートビーチ以外、外に出ないようにお願いをして……」(伊藤さん)
食事や酒類の提供も、以前はそこまで積極的には行なっていなかった。というのも、島内にはそれなりに飲食店があり、客もそうした店で食事を取りたがったからである。
「今は、朝昼晩と出してますね。でも、ぜんぶは対応できないから、仲間の居酒屋にこっそり持ってきてもらって、それで商売になっている。客商売なのに、客を隠して商売しなきゃいけないのはツラいですよ」(同)
◆「内地(本土)の人には遠慮してほしい」と言うけど…
いま特に多くの感染者を出している那覇市繁華街の店には、沖縄県から「休業要請」が出されるなど穏やかではないが、同エリアで飲食店を経営する城間明菜さん(仮名・30代)が声を潜める。
「正直、取材とかには『コロナが怖い』とか『内地(本土)の人には遠慮してほしい』とは答えるけど、内地のお客さんが来なかったら、私らは食べていけないのが実情ですよ。那覇市内は色々うるさいから、郊外や離島に行って、知り合いのホテルとか旅館の近くで、デリバリースナックとかバーをやろうって話もある」(城間さん)
那覇市中心部の飲食店従業員・宮里友子さん(仮名・50代)も、城間さん同様の思いを吐露する。
「いちばんのシーズンなのに、客に来てくれるな、とは口が裂けても言えない。県は時短営業の要請を出しているけど、うちはやりますよ。補償と言ってもぜんぶ出してくれるわけじゃないでしょう? 沖縄のマスコミも観光客に帰れ帰れと言ってるけど、内心はね……。このままじゃ、コロナで無事でもお金がなくて死んじゃうね」
那覇市は3日、県が支給する協力金のほか、時短営業や休業要請に応じた飲食店に対して、上乗せする形で協力金を支給することを決めたが、現実は厳しい状況にあるようだ。
本音と建前が渦巻く、感染者急増中の沖縄。法的強制力を持たない「おねがい」だけで、どこまで被害が食い止められ、県民の命が守られるのか。<取材・文/森原ドンタコス>
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