慢性頭痛<2>仲間同士 苦しみ共有
慢性的な頭痛に悩まされている人も、普段は元気なことが多い。ただ、痛みが出ても見た目に大きな変化はないため、その苦しみは周囲に理解されにくい。 日本頭痛学会などの医師や患者が2017年6月、頭痛の苦しみや治療法、対策などを情報発信するための会を発足させた。活動の場の一つが「頭痛教室」だ。埼玉県や大阪府などから全国へ広がり、実施する医療機関が増えている。
「仲間が話す頭痛対策は、初めて知ることがたくさんあった。聞いたことを試すたび、変化があってワクワクした」。宮城県の島津純さん(48)は、仙台頭痛脳神経クリニック(仙台市)が昨年10月に開いた教室「頭痛ラボ」に参加した時のことを振り返る。
最初に院長の松森保彦さんらが講演し、その後、参加者がグループに分かれ、症状や対策、経験などを語り合う。「ヨガを始めたら頭痛が起きにくくなった」「私は朝、散歩している」。参加者が話したことを島津さんも試してみると、40年間苦しめられてきた頭痛の頻度が減ったという。
島津さんの片頭痛はガンガンとした痛み。動くと頭の中が脈打つ感じで、吐き気も催す。子どもの頃、体育の授業を休むと、同級生から「また仮病だ」と言われた。悔しくて痛みを我慢するようになり、市販の鎮痛薬に頼った。薬の量が増えて胃痛が起きた。効き目も次第に弱くなっていく感じがした。
変化のきっかけは、松森さんらが昨年夏に開いた市民公開講座に足を運んだことだ。複数の患者の話を聞いて思った。「自分と同じような経験をしている人がこんなにいる。頭痛の苦しさを人に話してもいいんだ」。それまで誰にも言えず、我慢し続けてきた孤独感が消えていった。
「薬だけで解決できるものではない。同じ痛みや悩みを持つ人同士が、経験や対策を共有し、治療に前向きになることがとても大切です」と松森さんは話す。
島津さんは10年ほど前から松森さんに診てもらっている。片頭痛の薬・トリプタン製剤の処方を受け、正しい薬の飲み方に加え、自分の頭痛の特徴が分かるようになったこともあり、頭痛は改善していった。
今、頭痛に悩む人に伝えたいことがある。マイナス思考はストレスにつながりやすいということだ。頭痛の原因にもなると考えている。どんな小さなことにも感謝するなどして、物事をプラス思考に変えられるよう、自らも努力してきた。
「自分の経験を伝えることで、悩んでいた頃の私と同じように、希望を持てる人が出てくるかもしれない」。そう思い、「頭痛教室」などの情報発信の場に積極的に参加している。
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