2020年8月7日金曜日

    8月6日 よみうり寸評

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 〈そとであそんでいると〉と書いた少年がいる。〈三つになる弟に折り紙を折ってやっていた〉と顧みる少女もいる◆戦時下ながら、のどかにみえる日常が崩れ去ったのはその直後である。閃光せんこう、爆風、炎で街は壊滅した。当時5歳の少年は両親を奪われ、小学6年だった少女は弟と姉を失った。戦争に「勝つ」という祈りは〈「地獄」への路に通じた〉と、少女はつづる◆広島で被爆した子らの手記集『原爆の子』(長田新編)をひもといている。〈人類史上最大の悲劇と惨禍〉を伝える記録も、今や遠景に退いたのか◆気になる数字がある。広島大と長崎大が対象の意識調査で、核兵器廃絶を望む学生は6割弱だという。後は核削減が2割強、現状維持が1割だから、75年という歳月を感じざるを得ない。滞る核軍縮の現実が影を落としてもいるのだろう◆8月6日、そして9日が巡る。被爆の記憶を次世代へとつなぎ、核廃絶への誓いを新たにしたい。〈原子ばくだんがにくい〉と書いた原爆の子の声に耳を澄ましながら。

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