安倍晋三首相は6日、平和記念式典に参列するため訪れた広島市で49日ぶりの記者会見に臨んだ。新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、政府対応などについて国会答弁を含めて首相自身が十分説明する機会を設けてこなかっただけに、久しぶりの会見となった。ただ、事前に用意された幹事社質問と追加の1問に答え、約15分で終了した。
首相の会見は通常国会閉会直後の6月18日以来。この日の会見は広島市内のホテルで開かれ、式典出席にあわせて例年行われる「恒例」といえるものだった。
首相はまず、国が参加した訴訟に原告側が勝訴した「黒い雨」訴訟などへの対応▽河井克行前法相夫妻の公職選挙法違反事件についての自身の責任▽新型コロナをめぐる政府対応▽敵基地攻撃能力の保有など安全保障政策への見解――の4問に答えた。コロナ対応については約7分間を割いて説明。緊急事態宣言を再び出す状況にないとの認識を示した。
首相はその後、正式な会見が開かれていないことについての追加質問に応じた。「今回もコロナウイルス感染症について割と時間をとって話した。節目、節目において会見をしたいと考えている」と述べ、コロナ対策を担う西村康稔経済再生相と菅義偉官房長官が会見していることを挙げ、「日々、お話をしている」と説明した。
首相の会見は新型コロナの感染拡大を受けて緊急事態宣言が出されるなどした2~5月は首相官邸で計8回あった。おおむね月に2、3回のペースだったが、6月18日以降は開かれなかった。その後、熊本県などで甚大な被害の出た豪雨災害が発生。新型コロナの感染拡大は再び全国に広がり、政府が打ち出した観光支援策「Go To トラベル」の対応は迷走した。
一方、首相は官邸の出入りの際に記者団とやりとりする「ぶら下がり取材」には応じてきた。ただ取材時間は長くても数分程度で、再質問に答えないケースもあった。官邸幹部は「ドイツのメルケル首相や米国のトランプ大統領でもそんな頻繁に会見しない」と話している。
首相は6月17日の会期末以降は国会答弁にも立っていない。コロナ関連の委員会での閉会中審査では、予算委員会に野党が首相出席を要求したが、与党側が応じていない。また、野党4党などは7月31日、憲法53条に基づいて臨時国会の早期召集を内閣に求める要求書を衆院に提出。しかし、政府・与党は応じず、10月以降に召集する方針で調整が行われている。
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