2020年7月28日火曜日

巨人の原辰徳監督(C)朝日新聞社© AERA dot. 提供 巨人の原辰徳監督(C)朝日新聞社  開幕から1カ月が過ぎ、セ・リーグでは巨人が首位を快走している。シーズン前は先発投手のコマ不足が指摘され、開幕直後は坂本勇人、丸佳浩ら主軸の不振が続いていたが、原辰徳監督の采配、戦術眼は他球団の指揮官より一枚も二枚も上手だ。シーズン途中に楽天からウィーラー、高梨雄平をトレードで獲得するなど戦力補強にも抜かりはない。7月27日現在で19勝9敗2分、貯金10と盤石の戦いぶりを見せている。
 対照的に他球団はふるわない。シーズン前に下馬評が高かったDeNAはラミレス監督の采配が批判の的となり、手痛い黒星が目立つ。2016~18年にリーグ3連覇を達成した広島、ダークホースとみられていた中日も下位に低迷する。昨季最下位だったヤクルトが高津臣吾新監督の下、巨人に追いすがる健闘ぶりを見せているが、27日には山田哲人が疲労の蓄積を考慮されて登録抹消された。選手層が薄いチーム事情に加え、山田の戦線離脱はあまりにも痛い。「現状の戦力で優勝争いに食い込み続けるのは厳しい」というのが大方の見方だ。
 このまま巨人の独走態勢になってしまうのか。巨人の担当記者はこう話す。
「一番怖いのは阪神です。選手たちも『阪神は強い』と口をそろえます。昨季まで8年連続でカード勝ち越し、今年も開幕カードで3タテをするなどお得意様のイメージが強いですが、投手陣はセ・リーグで一番いい。得点力不足が課題だった打線もボーア、サンズが打ち出して一気に破壊力が増した。爆発力があるチームなので要警戒ですね」
 確かに、阪神が最も“つかみづらい”球団かもしれない。開幕ダッシュに失敗し、2勝12敗と借金が10まで膨らんだが、その後は13勝4敗1分の快進撃で持ち直して貯金1に。西勇輝、青柳晃洋、岩貞祐太、秋山拓巳、ガルシアと先発陣はセ・リーグの中で最も頭数がそろっている。
 6枚目で復活を期す藤浪晋太郎が定着すれば、さらに強固な体制になることは間違いない。
  打線も4番のマルテが左ふくらはぎの張りで7月11日に登録抹消され、打率3割1分と打撃好調だった糸原健斗が右手有鉤骨(ゆうこうこつ)骨折で長期離脱したのが痛手だったが、ボーア、サンズの両外国人が日本野球に対応してポイントゲッターとして機能し、大山悠輔も8本塁打と7月上旬から不動の4番に定着している。打撃不振に苦しむ2年目の近本光司がリードオフマンとして復調すれば、さらに得点力が増す。
 阪神の首位浮上へ、カギを握るのが分の悪い巨人戦だろう。阪神が巨人に最後に勝ち越したのは07年の14勝9敗(1分)。08年以降は12年連続で勝ち越しがない。宿敵・巨人に負け続けて阪神ファンのうっぷんもたまっているだろう。今年のセ・リーグはクライマックスシリーズが開催されない。ペナントレースの灯を消さないためにも阪神は意地を見せてほしい。(梅宮昌宗)

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