約半世紀ぶりの大規模改装を進めていた大阪(伊丹)空港のターミナルが5日、全面開業した。保安検査を済ませた後のエリアの店舗を充実させ、搭乗までの待ち時間に飲食や買い物を楽しめる空間を追求した。運営する関西エアポートは、新型コロナウイルスの影響で関西国際空港の国際線が低迷する中、国内線の拠点となっている伊丹空港で集客をはかる。
検査場通過後エリアの物販や飲食の店舗数は工事前の11から31に増加した。うち25店が、京都の抹茶や菓子を扱う店や飛行機を眺められるラウンジ・バーなどの新規出店。複数店舗を1本の通路で見て回れる回遊型の「ウオークスルー型」の設計を取り入れた。
記念式典に出席した関西エアの山谷佳之社長は「関西らしさを残しながら、上質な空間を目指した。新型コロナウイルスと共生しながら新しい価値を提供したい」と述べた。また、兵庫県伊丹市の藤原保幸市長は「新型コロナが収束すれば、空港を活用しながら観光客に地元の魅力をアピールしたい」と歓迎した。
検査場では手荷物を自動でエックス線検査機まで運ぶ「スマートレーン」を4台から14台に増設し、出発時の保安検査を効率化した。
就職活動で北海道に向かうという奈良県香芝市の大学4年、鷲尾千尋さん(21)は「広いエリアにたくさんの店があり、想像以上に豪華でびっくり。関西各地の土産もここならそろいますね」と話した。出張などで月4回ほど伊丹空港を利用しているという大阪市淀川区の医師の男性(69)は「本当にきれいになって、コーヒーもゆっくり飲めそう。店の料理の味など、ぜひ入って試してみたい」と語った。
改装は平成28年2月に着工し、総工費約320億円。30年4月の先行オープンでは屋上の展望デッキを増床し、子供の遊び場を提供する施設を設けるなどして、家族連れなど周辺住民の利用も増やしている。
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