京都市は5日、市バス・地下鉄事業の2019年度決算概要を発表した。市バスは17年連続、地下鉄は5年連続の黒字を維持したものの、新型コロナウイルスの感染が広がった今年2月以降は客数が落ち込み、両事業を合わせた客数は10年ぶりに減少に転じた。客数回復の見込みは立たず、本年度以降の経営への影響は免れられない見通しだ。
市バス事業は、2億円の経常黒字を確保した。一方で黒字幅は、全国的な運転士不足を背景にした人件費の増加や新型コロナによる客数の減少が響き、前年度の19億円から大幅に縮小した。1日当たりの客数は35万7千人で、前年度比6万7千人の減少だった。
地下鉄事業は、前年度並みの23億円の黒字だった。1日当たりの客数は40万人と、通勤・通学客の増加により前年度比3万4千人増と好調に推移。一方で、烏丸線や東西線の建設、設備更新に伴う有利子負債は前年度から93億円削減したものの、依然として3750億円もの残高があり「全国一厳しい経営状況」(市交通局)が続く。
年度が替わってからも状況は深刻だ。緊急事態宣言が発令された4月以降は、市が感染予防のため公共交通利用の8割減を目標に掲げたこともあり、4~6月の運賃収入は両事業合わせて前年度同期から49%(59億円)減少した。市交通局によると、7月も客数は回復していないという。
中京区の市役所で記者会見した門川大作市長は、今後の見通しについて「回復には相当の歳月が必要で過去に類を見ない減収は避けられない」と危機感をあらわにし、「経費削減に全力を挙げると同時に市民の足を守るため、国にしっかり要望していかないといけない」と述べた。
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