新型コロナウイルスの感染が再拡大する中、感染症の専門家としてワイドショーに連日出演し、「2020年上半期TV番組出演ランキング」で、タレントを抑え、女性部門トップとなった岡田晴恵・白鷗大教授(57)。「週刊文春」4月2日号では、岡田氏が国立感染症研究所の研究員時代に執筆した、麻疹の細胞性免疫の論文についての「データ捏造疑惑」を報じたが、今回、新たに岡田氏の別の論文に関する「不適切実験」疑惑が浮上。ウイルス学の専門家としてコロナ対策の提言を続ける、宮沢孝幸・京大准教授(56)が「週刊文春」に実名で証言した。
宮沢氏は7月上旬、関西ローカルのワイドショーに出演した際に、「(岡田氏とは)昔バトったというか、仲は悪いです」と発言。その真意を尋ねに行くと、こう語りだした。「1998年頃、私は東大大学院農学生命科学研究科の助手として、エイズウイルスを研究する学生の指導をしていました。エイズは免疫を担うリンパ球を殺し、免疫不全をすことはよく知られてますが、当時、HIV-1の中にあるNefというタンパク質がリンパ球を殺すという先行研究がありました。学生はこれに基づいて再現実験を行ったが、うまくいかない。その頃、岡田さんがネズミによる再現実験に続々と成功していると聞いたので、実験のコツや手法を教えてもらおうと思ったのです」感染研に問い合わせると、岡田氏の上司が対応した。
「ところが、その上司が研究室にある実験ノートを確認しても要領を得ないと言う。肝心の岡田さん本人からは反応がなく、実験の詳細や根拠は何も示されませんでした。不信感が残る対応だったのです」(宮沢氏)
「今でも実験データは正しいと考えているのか」岡田氏に尋ねると……
岡田氏の研究は論文にまとめられたが、別のエイズ研究者はこう証言する。
「Nefタンパクが、リンパ球を殺すという学説は、学術的に認められていません。あの実験を成功できたのは世界中で岡田さんただ一人で、誰も再現できていない。また、部外からの問い合わせに対しては、誠実に対応するのが研究の世界の常識です。再現性に関する問い合わせなら尚更ですし、そこで手法や生データを示せなければ、実験自体に疑義をもたれるのは当然です」
小誌は、宮沢氏以外の、学術的な実績のある複数のエイズ研究者に取材をしたが、いずれも同様の見解だった。
一連の経緯について、「今でも実験データは正しいと考えているのか」など、詳細な質問書を送ったが、岡田氏は「そのような事実はありません」とのみ文書で回答し、詳細については説明しなかった。
宮沢氏は岡田氏にこう苦言を呈する。
「新型コロナを巡り、様々な議論があるのはいいことです。ただ岡田さんには研究者としての誠実さがないと言わざるを得ません」
8月6日(木)発売の「週刊文春」では、岡田氏が感染研に所属していた際の部長で、論文の共著者でもある田代眞人氏の対応や、新型コロナを巡る岡田氏の発言内容の問題点などについて詳報する。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年8月13日・20日号)
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