2020年8月3日月曜日

米民間宇宙船、フロリダ沖に着水…NASA長官「我々は歴史を作った」


米民間宇宙船「クルードラゴン」で地球に無事に帰還し、船内で笑顔を見せるNASAの宇宙飛行士2人(2日、NASA提供)
米民間宇宙船「クルードラゴン」で地球に無事に帰還し、船内で笑顔を見せるNASAの宇宙飛行士2人(2日、NASA提供)
 【ワシントン=船越翔】宇宙飛行士2人を乗せ、国際宇宙ステーション(ISS)から地球に向かっていた新型の米民間宇宙船「クルードラゴン」が2日午後2時48分(日本時間3日午前3時48分)、米フロリダ沖に着水した。2人の地球帰還で、米国による9年ぶりの有人宇宙飛行は成功した。国主導で進められてきた有人宇宙技術の開発を民間企業が達成し、宇宙開発は新たな時代に入った。
 クルードラゴンは、実業家イーロン・マスク氏が2002年に創業した米宇宙企業スペースXが開発した。今回は飛行士が搭乗した初の試験飛行だった。今年9月にも運用段階に入る。米国の有人飛行が本格的に再開するとともに、宇宙旅行の実現などを目指す民間ビジネスが活発化しそうだ。
 米国は11年のスペースシャトル引退以降、地球と宇宙との飛行士の往復をロシアの宇宙船に依存していたが、高いコストが課題だった。このため、米航空宇宙局(NASA)は、コスト削減を狙いに、10年代初めから輸送手段の開発を同社など複数の企業に競わせる計画を進め、約10年で有人飛行が実現した。
 試験機は、NASAの2飛行士を乗せて今年5月末に打ち上げられ、ISSに到着した。日本時間の今月2日朝、2人が再び乗り込んでISSを出発。約19時間後にパラシュートを開いて減速、着水した。ジム・ブライデンスタインNASA長官は記者会見で「我々は今日、歴史を作った。民間企業が技術革新を進めれば、奇跡のようなことが起きる」と語った。
 運用段階の初号機は9月下旬にも打ち上げられる予定で、日本の野口聡一宇宙飛行士(55)ら4人が搭乗する。来年春の2号機には、星出彰彦飛行士(51)が乗ることが決まっている。シャトルなどの搭乗経験がある野口さんは会見で「クルードラゴンでも飛行できることをとても光栄に思う」と話した。

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