2020年8月3日月曜日

高額介護合算療養費の申請書の書き方©  マネーポストWEB 提供 
      高額介護合算療養費の申請書の書き方  高齢の親の介護が必要な場合、医療費だけでなく介護費用もかかる。医療費や介護費の自己負担が高額になった際、“切り札”として活用したいのが「高額介護合算療養費制度」だ。
 ファイナンシャルプランナーの黒田尚子氏が指摘する。
「1年間の医療費と介護費の合算が自己負担限度額を超えた場合、超過分が払い戻される制度です。同一世帯で同じ医療保険なら、使用した医療費や介護費を合算できます」
 高額介護合算療養費の申請は、国民健康保険なら市区町村の国保係、それ以外は各健康保険組合で申し込む。申請期間は基準日となる毎年7月31日の翌日から起算して2年以内で、申請から約2か月後に還付金が振り込まれる。
 この制度のメリットは、医療費と介護費の「1年分」を合算できる点。高額療養費制度では、医療費の自己負担上限額がひと月ごとに区切られる。月々の医療費が少なく、高額療養費制度が利用できない場合も、年間を通じての負担があれば、この制度が使える可能性があるのだ。

「75歳以上か」がポイント

ただし切り札的な制度だけに、利用するには様々な条件がある。
 高額介護合算療養費は、申請すれば医療費の月額自己負担が数万円で済む高額療養費制度と、その“介護版”である「高額介護サービス費」を利用した上でさらにかかったお金に対して適用される。
「両制度による還付を受けた後の医療費と介護費が高額介護合算療養費の対象となります。それでも、夫が病気がちで妻が寝たきりの高齢夫婦などは医療費と介護費が長期にわたってかさむため、高額介護合算療養費を利用できる可能性があります」(前出・黒田氏)
 高額介護サービス費は、例えば65歳以上で課税所得が145万円以上の人は、月額4万4400円以上かかった分の介護費用が戻る。高額介護合算療養費は、さらにそれ以上かかった分を年間で算定することになる。
 高額介護合算療養費の自己負担限度額は、年収や年齢で異なる。例えば、年収約370万~770万円の世帯だと、自己負担の上限は67万円(別掲表B参照)。
 また、費用の合算にもルールがある。社会保険労務士の北村庄吾氏が解説する。
「高額介護合算療養費は、医療保険もしくは介護保険のどちらかの自己負担額がゼロの人は利用できません。つまり“医療費だけで年間67万円の負担を超えた”というケースでは使えない(年収約370万~770万円のケース)。
 また自己負担限度額を超えた額が500円未満の場合もNG。さらに70歳未満の医療保険の自己負担額が2万1000円以下の場合、介護費との合算が認められません」
 世帯内で合算するには、同じ健康保険に加入している必要がある。
「例えば77歳の夫が後期高齢者医療制度に加入し、70歳の妻が国保に加入している夫婦は、同じ世帯でも合算できません」(前出・黒田氏)
 後期高齢者医療制度に加入する「75歳」を超えている家族がいるかどうかが、世帯合算の可否を占うポイントのひとつになりそうだ。前出・北村氏は「意外と該当する人は多いはず」と言う。
「一般的な年収の人で、高額療養費制度などを利用した上で“年間67万円以上”と言うと難しそうですが、医療費と介護費を合わせて月に6万円程度の支払いですから、十分にあり得ます。制度を知っていることがまずは重要でしょう」

申請は必ず2年以内に

高額介護合算療養費の申請書を記入する際にも、ポイントがある。
「申請書には、計算期間内に別の健保に加入していればその加入履歴と介護保険の履歴をすべて記入します。その際、被扶養者についてもすべて書く必要があるので、事前に履歴を確認しておきましょう」(前出・北村氏)
 基本的には、該当する世帯には申請書が送られてくるので、自分で上限を超えているかの確認は不要だ。ただし、届いた申請書をそのままにして、所定の期間である2年を経過すると、お金を取り戻すことは一切できなくなってしまう。

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