もし東京五輪が「延期後に中止」となれば、避けられないのが「チケットの払い戻し問題」だ。
組織委はすでに五輪チケット約448万枚を販売済み。3月の「延期」の決定後には、公式HPに〈日程変更後に来場が困難な場合等には、希望者に払い戻しを行う予定〉と掲載。近く詳細が発表される見通しだ。
しかし、この払い戻しは「延期」で都合が合わなくなった人が前提。「中止」の場合には触れられていない。開会式のチケットに当選し、24万円を支払った関西在住の50代会社員はこう話す。
「正直、迷っています。家族も知人もカネに換えられない経験だからと観戦を勧める。ただ、“中止が決まったら返金されない”という話も聞く。コロナで残業がなくて給料も減ったし、金額も大きいからね。どうすればいいのか……」
一時は当選の喜びに沸いた人たちが、一転して悩ましい立場にあるのだ。
「チケットの売り上げは組織委の収入の1割強を占める。中止で全部払い戻す資金が捻出できるのか疑問です。組織委は〈規約には『払い戻し不可』との記載はない〉と声明を発表した一方、“中止でも払い戻す”とは明言しない」(スポーツ紙記者)
改めて組織委に尋ねても、「(中止という)仮定の状況における対応については回答を控える」(戦略広報課)とするのみ。
状況は不透明だが、スポーツ紙の五輪担当グループのデスクはこう話す。
「払い戻しがないとなったら、メディアが“おかしい!”とキャンペーンを打つんじゃないか。社によっては記者たちに応募させて、取材したい競技の当選チケットを会社が買い取っていた。スタンド観戦でも書ける記事はありますから。買取額が数千万円にのぼる社もあるといい、払い戻しがないと大変なことになる」
日本中を巻き込んだ大騒動となるかもしれない。
※週刊ポスト2020年7月31日・8月7日号
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