2020年8月28日金曜日

    日本に住民票がある方には原則として、12桁のマイナンバー(個人番号)が付番されます。
また自分のマイナンバーがわかるものとしては、主に次のような3つがあります。
・ 紙製の「通知カード」 ・ プラスチック製でICチップが付いた「マイナンバーカード」
・ 2020年5月25日以降に付番される方に送付される「個人番号通知書」
この中のマイナンバーカードの普及率(人口に対する交付枚数率)は、2020年7月1日時点で17.5%のため、かなり低迷しております。
ただ2020年1月20日時点の普及率は15.0%のため、わずか半年くらいの間に、2.5%も伸びています
新型コロナウイルスの影響を受けた家計を支援するため、1人10万円の「特別定額給付金」を支給することが、2020年4月20日に閣議決定されました。
また特別定額給付金の給付申請をするために、マイナンバーカードの交付申請をする方などが、市区町村の窓口に殺到して大混乱になったと、新聞やテレビのニュースが伝えておりました。
そのためわずか半年くらいの間に、マイナンバーカードの普及率が急速に伸びたのは、特別定額給付金が大きな影響を与えていると考えられます。
マイナンバーカードの普及率UP© マネーの達人 提供 マイナンバーカードの普及率UP

2020年中に普及率が伸びる2つの理由

マイナンバーカードの普及率は次のような2つの理由により、2020年中にさらに伸びていく可能性があります。

(1) 通知カードの廃止

通知カードが2020年5月25日に廃止されたため、紛失した場合には再発行されません。
また氏名や住所などが変わった場合、市区町村の窓口で変更した事項を、通知カードの裏面に記載してもらうのですが、2020年5月25日以降は、このような取り扱いができなくなりました。
これにより現在の氏名や住所などが、通知カードに記載されているものと一致しなくなった場合、通知カードは「マイナンバーを証明する書類」として使えなくなります。
そのため通知カードを紛失した方、または氏名や住所などが変わった方は、マイナンバーカードの交付申請を検討するため、これの普及率が2020年中に、さらに伸びていく可能性があります

(2) マイナポイント

マイナンバーカードを使って予約・申し込みを行い、選択したキャッシュレス決済サービスでチャージや買い物をすると、最大5,000円分のポイントが還元される「マイナポイント」が、2020年9月から始まります。
この制度は2021年3月までの期間限定であり、また先着で約4,000万人しか利用できないので、マイナンバーカードの普及率が2020年中に、さらに伸びていく可能性があります。

マイナンバーカードと電子証明書には有効期限がある

取得したマイナンバーカードと、これに格納されている電子証明書には、次のような有効期限があるため、所定の更新手続きが必要になります。
また有効期限を迎える方に対しては、数か月前くらいに、「有効期限通知書」が送付されます
【マイナンバーカード】
発行日から10回目の誕生日(20歳未満は発行日から5回目の誕生日)
【電子証明書】
発行日から5回目の誕生日
前者のマイナンバーカードの更新手続きは、スマートフォン、パソコン、郵送などでも可能です。
ただ古いマイナンバーカードの引き渡しと、新しいマイナンバーカードの受け取りのために、市区町村の窓口に行く必要があります
一方で後者の電子証明書の更新手続きができるのは、市区町村の窓口だけになります。
そのため更新が必要な場合には、本人または代理人が、市区町村の窓口まで行く必要があります
なお電子証明書は必須ではないため、これが格納されていないマイナンバーカードを取得できます。
ただe-Taxでの確定申告、コンビニでの住民票などの取得、特別定額給付金の給付申請、マイナポイントの予約・申し込みなどには、電子証明書が必要になります。

2025年問題とは「窓口の混雑」と「システム障害」

2025年問題© マネーの達人 提供 2025年問題 取得したマイナンバーカードと、これに格納されている電子証明書には、上記のような有効期限があります。
また2020年中にマイナンバーカードを取得した方は、2025年辺りに電子証明書の有効期限を迎えます。
これにより次のような問題が発生すると予想しており、個人的には「2025年問題」と呼んでおります。

(1) 市区町村の窓口の混雑

有効期限通知書が送付された直後は、窓口が非常に混雑するという情報が、多くの市区町村のウェブサイトに記載されておりました。
現在でも混雑しているので、2020年中にマイナンバーカードを取得した多くの方が、次々に窓口に押し寄せると、さらに混雑する可能性があります。
特別定額給付金の給付申請の際には、窓口の前で何時間も待たされた、また整理券を受け取ったのに、処理が翌日以降になったなどのトラブルが発生しましたが、2025年辺りも同じような状態になるかもしれません。

(2) システム障害

マイナンバーカードが始まった直後に取得した方が、初めての更新を迎えた2019年11月頃に、電子証明書を更新できないというシステム障害が、複数の市区町村で発生しました。
また特別定額給付金の給付申請で、市区町村の窓口が混雑した2020年5月~6月頃にも、同じようなシステム障害が、複数の市区町村で発生しました。
こういった状態から推測すると、2020年中にマイナンバーカードを取得した多くの方が、次々に窓口に押し寄せたら、再びシステム障害が発生し、すぐに更新できないかもしれません。

マイナンバーカードの取得はもう少し待つ

通知カードが2020年5月25日に廃止されたため、いずれはマイナンバーカードを取得する必要があると思います。
ただ上記のような2025年問題が発生するかもしれないので、もう少し待った方が良いと考えております。
マイナポイントがもったいないという意見があるかもしれませんが、マイナンバーカードを取得したり、マイキーIDを設定したりする手間や時間を考慮すると、最大5,000円分というポイント還元は、あまりお得だとは思えません。
また例えば子育て支援パスポートや、運転免許証の自主返納による各種の特典を利用した方が、5,000円分のお得感を得やすいと思います。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)

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