首相は潰瘍性大腸炎の持病があり、第1次政権時は2007年7月の参院選で大敗後に体調が悪化し、約1年で退陣した経緯がある。今回も21年9月末まで自民党総裁3期目の任期が残る中、2度にわたって任期途中での辞任となる。
12年12月に第2次安倍政権が発足してからの連続在任日数が24日で2799日となり、佐藤栄作元首相を抜いて歴代1位となったばかりだった。第1次政権と合わせた通算在任日数は、19年11月に戦前の桂太郎元首相(2886日)を超えて最長記録を更新している。今年に入ってからは新型コロナに対する政権の対応が迷走し、内閣支持率が低迷していた。
新型コロナの感染拡大に伴い、首相は今年1月26日から6月20日まで147日間連続で出勤。その後も土日に出勤するケースがあり、首相周辺は「明らかに疲れている」などとして、疲労の蓄積を危惧していた。12年末の第2次内閣発足以降、「政権の骨格」として首相を支え続けた菅義偉官房長官や麻生太郎副総理兼財務相、自民党の甘利明税制調査会長らも休養を進言したが、首相は新型コロナ対応で「陣頭指揮」を執りたいとの思いが強く、応じなかったという。
首相が辞任すれば、今後の焦点は「ポスト安倍」に移る。自民党は近く総裁選を行って次期総裁を選出する。総裁選には、自民党の岸田文雄政調会長や石破茂元幹事長が意欲を示しているほか、党内には菅氏や河野太郎防衛相らを推す声もある。
首相は晋太郎元外相の次男で、祖父は岸信介元首相。晋太郎氏の死去に伴い、1993年衆院選で旧山口1区から立候補して初当選し、当選9回。03年には小泉政権下で党幹事長に抜てきされ、05年に官房長官に就任。06年9月、小泉純一郎元首相の後を受け、52歳で首相に就任したが、翌07年の参院選で大敗後に体調不良で辞任した。
自民党が野党に転落していた12年9月に党総裁に返り咲き、同年12月の衆院選で過半数を得て政権に復帰。15年には無投票で総裁に再選した。16年には総裁任期が「連続2期6年」から「連続3期9年」に延長され、18年総裁選で石破氏を破って3選を果たしていた。
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