現状は岸田文雄・政調会長や石破茂・元幹事長らが立候補の意思を示しており、菅義偉官房長官や麻生太郎副総理も有力な候補として囁かれる。4人はどんな政治家かをまとめた。
■「30万円給付」まとめたが頓挫
ポスト安倍狙いを公言するのは岸田氏だ。外務大臣などをつとめ、2015年には当時のオバマ米大統領の広島訪問にも携わった。安倍首相の“禅譲”候補としても名前が上がっていた。しかしコロナ禍では、自らが中心となって提案した、低所得世帯に30万円を給付するという政策が「分かりにくい」「範囲が狭い」などと批判を浴び実現せず。公明党が求めた「一律10万円」に取って代わられるという屈辱を味わった。
また他の首相候補と比べて発信力が不足しているとの指摘もあり、9月には自身の政策をまとめた本を出版するなどイメージの変化に力を入れる。時事通信のインタビューでは、儲けよりも環境や地域貢献を重視する資本主義を前面に押し出したほか、観光資源などを活用した“ソフトパワー外交”も掲げている。
一方、消費税について「下げるべきではない。10%に引き上げるだけで、どれだけの年月と努力が求められたか」とした発言がネットでは批判されていた。
■安倍首相と距離
岸田氏と同じく、総裁の座を虎視眈々と狙うのが石破氏だ。防衛大臣や内閣府特命大臣(地方創生)、自民党幹事長などを歴任したが、安倍首相とは距離があるとされる。
現在は自身の派閥「水月会」の領袖。安倍内閣を批判することも多く、Twitterで反対の声が集中した検察庁法改正案をめぐっては、自身のブログで「著名人を含む反対のツイートの激増は、国民の意見が具体的な数字で体現されたものと考えるべき」と政権とは一線を画した持論を表明。国会で集中砲火を浴びた「桜を見る会」問題でも説明責任を果たすよう求めていた。
政策は地方創生と安全保障の充実が核。自らを「スペシャリスト」とし、「あらゆる法制、装備、訓練を見直し、時代の変化に合わせて新しい態勢を早急に構築します」としている。
■GoToを主導
安倍首相を支えてきたのが菅氏だ。官房長官として長らく政権を支え、自民党の二階俊博幹事長もCS番組で「任に耐えうる人材」「有力候補」とするなど評価が高い。秋田県の農家に生まれ、アルバイト生活を経て法政大学に入学するなど、いわゆる「2世議員」とは違った経歴に人気がある。また、2019年に新元号「令和」を記者会見で発表し、“令和おじさん”とも呼ばれている。
コロナ禍では観光振興などに力を入れている。毎日新聞によると、自らGoToトラベルを主導し、早期実施などを実現させた。一時期はコロナ対応をめぐって安倍首相との「不仲説」も囁かれたが、その後表面化していない。
ポスト安倍レースでは「全く考えたことはない」とブルームバーグのインタビューに答えるなど煙に巻くが、有力候補との周囲の評価は変わっていない。
■変わらぬ失言癖
麻生氏も安倍首相の信頼が厚い。辞任の意向を伝えたとされる28日はもちろん、それまでにも安倍首相との面会を積み重ねている。また、内閣法9条では、総理大臣が欠けたときなどに臨時に職務を務める人間をあらかじめ指定することになっているが、第一順位指定大臣は麻生氏だ。
2008年からおよそ1年続いた麻生内閣は記憶に新しい。定額給付金などの経済振興策に努めたが、支持率は一時10%台に落ち込み、2009年の解散総選挙では当時の民主党に政権を譲り渡した。
第2次安倍政権では副総理兼財務大臣として要職を担う。しかし高齢化について「子供を産まなかった方が悪いんだ」と発言したり、新型コロナでの休校措置で発生する費用について聞かれると「つまんないこと聞くねえ」と返したりするなど、失言癖は相変わらずだ。
このほかにも、河野太郎・防衛大臣や下村博文・自民党選対委員長が総裁選に意欲を示している。
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