サウナの効用<2>頻繁利用 病気リスク減か
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土肥英雄さん(90)は毎朝、大阪府河内長野市の自宅からバスと電車を乗り継ぎ、1時間かけて大阪市の繁華街・西道頓堀に通う。約80の飲食店などでつくる道頓堀振興会の事務局長で、午前10時から物品の調達などに汗をかく。卒寿を迎えた今も病気一つなく、記憶力も衰えを感じさせない。
「健康の秘訣 ? 一番はサウナや」。午後2時に仕事を終え、近くのサウナ施設に向かうのが日課だ。
15歳で終戦を迎えた土肥さんは、家業を手伝うなどした後、1955年に現在の「ニュージャパン観光」(大阪市)に就職した。
日本にサウナブームが到来したのは、64年の東京五輪がきっかけだ。選手村にサウナ室ができると話題になり、国内にもサウナを設置する施設が増えた。
同社が本格的な乾式サウナ「サウナプラザ」を作ったのは68年。土肥さんは38歳で店長に抜てきされた。
「俺を殺す気か」。100度のサウナに初めて入った客から苦情が相次いだ。魅力を伝えようと、自ら毎日サウナに入った。「爽快やで」「肌つや良くなるよ」。そんな営業トークで客を呼び込み、店は大繁盛した。
95年に65歳で退職した後も、平日はサウナ施設で、休日は自宅のサウナ室で汗を流した。これまでに入った回数は1万5000回を超えるという土肥さんは言う。「サウナは俺の生きがいや。なかったらとうの昔に消えとるよ」
土肥さんのように頻繁にサウナに入る生活が、様々な病気のリスクを下げる可能性があることが海外の研究で明らかになってきた。
東フィンランド大は2015年以降、サウナと病気の関係を検証した世界初の大規模調査の結果を発表し、注目を集めている。
80度のサウナの利用頻度でグループ分けしたフィンランドの健康な中年男性(42~60歳)2315人を約20年間追跡。週4回以上の組は、週1回の組と比べてアルツハイマー病になるリスクが約6割、致死性の心筋梗塞 になるリスクは約5割少なかった。
ただ、頻繁に利用する人は、もともと健康な生活習慣を持つなど、別の理由も考えられる。土肥さんも毎朝30分の運動と、街で見かけた車のナンバーを足し、英語でつぶやく“訓練”を続けている。
研究代表者で同大教授のヤリ・ラウッカネンさん(循環器専門医)は「頻繁なサウナ浴によって血流が良くなり、心臓や脳に良い影響を与えた可能性がある。ただし、さらなる研究が必要だ」としている。
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