7月21日 編集手帳
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前線はどこ? 雲はどこに流れゆくのか。多くの方がテレビの気象予報などで日本列島の図を眺める日々をお過ごしだろう◆本紙「四季」欄にかつて、宇宙の地図に列島をぽつんと記すかのような句が載ったことがある。<銀河系字 日本に端居かな>(うまきいつこ)。端居 は縁側やベランダに出て涼むことをいう。この句に長谷川櫂さんが輪をかけて空想的な解説を添える。「そういえば日本列島は大空に向かって弓なりに反るバルコニーのようだ」と◆しかし雨にぬれるベランダやバルコニーでは快適な端居は望めない。梅雨前線はまだしばらく列島に居座るという◆日照不足の影響で野菜が高値傾向にある。農家はからっとした日差しを一日でも早くと待つ思いだろう。豪雨に見舞われた地域では復旧への営みに影を落とす。線状降水帯なるものがいつまた現れやしないかと、気が気でない日々が続いている◆かといって、じめじめした梅雨が去ったら去ったで次は猛暑が待つ。今年は過去何十年かを見渡しても、とりわけ暮らしづらい夏になるのかもしれない。雨も、お日さまも“字日本”にどこか容赦ない。
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