[読者会員限定]
特定非常災害について、政府が被災者の住宅の解体・撤去費用の補助対象を将来にわたって「半壊」にまで広げるのは、よりきめ細かな被災者支援の要請が強まっているからだ。
阪神大震災や東日本大震災など、特定非常災害は、大地震を中心に被害規模の特に大きい災害に適用されてきた経緯がある。ただ、近年は深刻な水害が頻発している。被害住宅が大地震ほど多くはなく、また全壊に至らなくても、被災者は住宅という生活基盤を失って不安にさいなまれる。補助対象を拡大し、被災者の負担を和らげる意義は大きい。
とはいえ、被災者の支援は十分とはいえない。補助金の対象は、取り壊されて災害廃棄物となる住宅が前提となる。九州豪雨では約1万4700軒が床上・床下浸水被害を受けたが、現時点では、こうした住宅の復旧費用は補助されない。
被災者にとって、住宅は命のよりどころである。政府には、省庁や制度の枠組みを超え、被災者目線の支援の拡充をさらに求めたい。(安田信介)
0 件のコメント:
コメントを投稿