2020年7月21日火曜日

[コロナの疑問]退院後も肺や関節に症状 なぜ?…「後遺症」免疫暴走か

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 新型コロナウイルス感染症には、後遺症があるとの説があります。海外の報告では、肺のダメージが大きいようです。
 2月から3月に入院した中国の患者に退院前、呼吸機能の検査をしたところ、肺から血液に酸素を送り込む力の指標となる「DLCO(肺拡散能)」という項目で108人中51人に異常がみられました。肺炎のない軽い症状の人では30%でしたが、重い肺炎の人では84%に上りました。
 この異常の原因は、肺の壁が硬く厚くなる「線維化」ではないかと考えられています。肺を元通りにするのは難しいとされ、体を動かした時の息苦しさにつながります。
 線維化に至るメカニズムとして今、注目されるのが、免疫の暴走「サイトカインストーム」です。何らかの原因で、免疫機能が過剰になり、正常な組織も攻撃してしまう現象です。肺をはじめ、全身に様々な影響を及ぼします。
 「米医師会雑誌」に7月上旬、イタリアの患者143人の調査結果が掲載されました。発症から平均60日、退院から平均36日の時点で、9割近い125人が、何らかの症状を訴えていました。主な症状は、倦怠けんたい感(53%)、呼吸困難(43%)、関節痛(27%)、胸の痛み(22%)の順でした。
 日本呼吸器学会理事長の横山彰仁・高知大教授は「PCR検査で陰性となり、治療が終わり退院した後も、サイトカインストームの影響が残っている可能性がある」と指摘しています。
 同学会では、後遺症の実態調査を計画しています。呼吸機能だけでなく、全身の症状も広く把握するとしています。
 厚生労働省も8月から、回復後の健康への影響について、2000人規模の研究を始めます。「中等症から重症」「軽症から中等症」の2グループで各1000人が対象です。画像や血液の検査結果や、自覚症状のアンケートなどで、退院後などの症状を追跡します。
 厚労省の担当者は「どんな人が症状が出やすいのかも確かめたい」と話しています

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