コロナ感染急増 全国的な広がりを憂慮する
新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない。この連休や夏休み中の対応が今後の行方を左右する。一人ひとりが気を引き締め、感染防止を徹底してほしい。
東京都では、1日当たりの感染者数が4日連続で200人を超えた。このところ感染の中心となっていた首都圏だけでなく、大阪府や愛知県、福岡県などでも急増している。もはや特定地域に限った事態とは言えまい。
感染者増の背景には、検査対象者の拡大があるが、第2波の到来を危惧する声は強まっている。
問題は、感染者の年代の広がりだ。東京では、20~30歳代が全体の6割超を占めるほか、40~50歳代も約2割に上る。こうした世代から高齢者への家庭内感染が増えることが懸念される。
クラスター(感染集団)も各地で発生している。接待を伴う飲食店などの「夜の街」だけでなく、一般の飲食店、高齢者施設、会社の研修所、大学の合宿所、保育所にも広がっている。感染経路の不明な人が多いのも心配だ。
密閉された場所の危険性は広く知られているが、劇場やパーティーなど、大きな声を出す場での感染リスクが改めて注目されている。施設と利用者の双方が、密集を避け、飛沫 を防止するように心がけてもらいたい。
医療体制は予断を許さない状況にある。東京では、入院患者が1か月前の5倍近い約1000人に上り、重症者も増えている。医療が脆 弱 な地域で患者が急増すると、一気に逼迫 しかねない。
重要なのは、病床を確保し、重症化を防ぐことである。医療崩壊を回避し、一般患者への医療サービスを維持することも地域医療を担う病院の大切な役割だ。
コロナの治療では、検査や消毒などで多くの人手が必要になる。医療従事者やPCR検査を担う保健所職員は、流行の長期化で疲弊している。感染者が多い地域に応援要員を配置するなど、負担軽減を図ることが欠かせない。
政府の観光支援事業「Go To トラベル」が始まり、東京以外の観光地には、多くの人が訪れている。事業の推進が、都市部から地方への感染拡大につながっては元も子もない。
体調が悪い人は、旅行を控えたい。重症化しやすい高齢者や感染が目立つ若者らの団体旅行も自粛するのが賢明だろう。旅行先では、人が密集する場所を避け、すいている時間を選んで観光するといった工夫も求められる。
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