2020年7月24日金曜日

「救える命が救えない事態も」予断許さぬ医療体制…都内感染366人
 新型コロナウイルス感染者が急増していることに伴い、国内では入院患者も再び増えており、受け入れ体制の整備が急務となっている。
厚生労働省などによると、東京都内の直近1週間(7月15~21日)の人口10万人あたりの新型コロナウイルス感染者数は11・7人に上り、緊急事態宣言が出される直前の4月5日(5・0人)を大きく上回る。
 都によると、入院患者数は7月23日時点で964人まで増え、1か月前の6月20日(204人)の5倍近くに及ぶ。重症者も7月12日には5人だったが、23日には21人に達し、じわりと増えている状況だ。
 都は2800の病床を確保する方針で、現段階で重症者用100床も含めて2400床まで確保できているという。ただ、病床を確保したとしても医療従事者がそろわなければ受け入れはできない。入退院の際には消毒などの労力もかかり、それほど余裕のある状態ではない。都医師会の猪口正孝副会長は「長期化で医療機関は疲弊している。このままでは救える命も救えない事態になる」と苦境を明かす。
 都は、検査件数が4月上旬の5倍近い1日5000件近くに達することも感染者の増加につながっていると説明する。ただ、5月20日頃には1%を切っていた直近1週間平均の陽性率は、今月21日時点で6・7%まで上昇した。欧米では7%を超えると死者が急増したという分析結果もあり、都幹部は「40、50歳代の重症患者も出ており、都内の医療体制は予断を許さない状況だ」と話す。
 全国的にみても、入院患者は直近の10日ほどで倍増しており、厚労省によると、22日の段階で計5002人に上る。重症者も少しずつ増えて59人となった。新型コロナウイルス感染症対策を検討する政府の分科会は22日、「一部の地域では軽症、中等症の患者の入院先や宿泊療養施設が十分確保されていない」として、早期の対応が必要だと指摘している。

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