中国の火星探査機が軌道へ…強い政治色、国威発揚につなげる狙い
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【北京=中川孝之】中国の航空宇宙当局は23日、南部・海南島の文昌衛星発射センターから、火星探査機「天問1号」を長征5号ロケットで打ち上げ、予定軌道に投入することに成功した。中国初の火星軟着陸を目指す。「宇宙強国」を目標に掲げる習近平 政権は、惑星探査の技術習得につなげ、宇宙科学分野でも米国を追い上げる構えだ下へ
発表によると、天問1号は、火星の周囲を巡る「周回機」、火星表面で約90日間活動できる無人の「探査車」、探査車を火星に届ける「着陸機」で構成される。火星の形状や地質の特性、気候などを幅広く調べる予定という。「天問」は春秋戦国時代の詩人・屈原の詩に由来する。
中国は昨年1月、無人探査機を月の裏側に世界で初めて着陸させるなど、月探査で実績を積み重ねてきた。火星で使用する探査車も月探査車「玉兎 」の技術を応用した。
打ち上げ計画は2016年1月にスタートした。打ち上げは政治的な意味合いも強い。火星周辺への到達には約7か月かかり、来年となる見通しだ。来年は中国共産党の創設100年に当たり、火星探査を成功させて国威発揚につなげる狙いが透けて見える。中国メディアによると、軟着陸に成功すれば、米国に続き世界で2番目となる。
中国は11年、火星探査機「蛍火1号」をロシアのロケットで打ち上げたが、ロケットの故障で失敗した。
火星探査を巡っては、アラブ首長国連邦(UAE)の探査機が日本のH2Aロケットで20日に打ち上げられた。米航空宇宙局(NASA)も近く探査機の打ち上げを計画している。
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