2020年8月13日木曜日

 

 気象庁によると、8月は日本を覆う太平洋高気圧の上に大陸側のチベット高気圧が重なり、「2階建て」の構造になっている影響で、猛暑に見舞われているという。11日には群馬県で今年の全国最高となる40.5度を観測。12日も山梨県で38.2度、13日も高知県で37.9度と40度近い高温になった。少なくとも今後1週間は、厳しい暑さが続きそうだ。

 熱中症の救急搬送者数も急増している。総務省消防庁が発表した速報値によると、8月3~9日は6664人で、前週(7月27日~8月2日)の3426人から2倍近くに増えた。その6割近くが高齢者だ。重症は180人で、10人が死亡した。環境省と気象庁は7月から、湿度や日差しの強さも考慮して発令する「熱中症警戒アラート」を関東甲信の1都8県で導入しているが、6日以降は8日連続で発令している。

 どういう症状が出ると熱中症を疑えばいいのだろうか。環境省によると、めまい▽筋肉痛▽吐き気▽倦怠(けんたい)感▽けいれん――など。その際は涼しい場所で服を緩め、体を冷やすことで回復につながる。氷のうで首、脇の下、太ももの付け根を集中的に冷やすと効果的だという。呼び掛けに応じなかったり、自力で水分を摂取できなかったりする場合は、すぐに医療機関の受診が必要だ。

 日本気象協会によると、マスク着用時は温められた外気を吸い込むため、体が冷やされにくい。さらに梅雨明けからの急激な気温上昇で体が暑さに慣れず、体温調節がうまくいかない場合がある。熱中症の予防策として、バランスのよい食事▽適度にエアコンを利かせた十分な睡眠▽暑さに慣れるための適度な運動▽こまめな水分・塩分補給――などを勧めている。

 元気象庁気象研究所職員の藤部文昭・東京都立大特任教授は「熱中症は夏の間、一様に起きるわけではなく、限られた期間に集中する傾向がある。厳しい暑さが予想された際に被害の軽減が図れるかが重要だ」としている。【黒川晋史】

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