2020年7月17日金曜日

© AERA dot. 提供 今季から日本でプレーする“大物助っ人”オリックス・ジョーンズ (c)朝日新聞社  開幕から約1カ月が経過したプロ野球のペナントレース。今年も多くの新外国人選手が各球団に加入したが、ここまで期待通りの活躍を見せている選手もいれば、日本の野球に苦しんでいる選手もいる。成功か失敗かの結論を出すのにはもちろん気が早い時期ではあるが、ここまでのプレーぶりから各球団の新外国人選手について評価してみたいと思う。今回はパ・リーグ編だ。なお今年初めてNPB入りした新助っ人のみで、他球団から移籍した選手は除外し、支配下登録されている選手のみとした(成績は7月15日終了時点)。
【西武】
・ギャレット:A
前評判はそこまで高くはなかったものの、10試合に登板して失点はわずかに「1」で2勝6ホールドとセットアッパーとしての役割をほぼ完璧にこなしている。150キロを楽に超えるストレートとツーシーム、スプリットのコンビネーションは見事で、時折混ぜるナックルカーブも有効だ。奪三振率が高く、制球力もあるため、今後も抑えの増田達至に繋ぐ役割を期待できるだろう。
・ノリン:C
先発の一角として期待されるサウスポー。キャンプでは腕の位置を変えるフォームが話題となったが、その後は左肩の張りで出遅れて二軍暮らしが続いている。6月26日の二軍戦では先発として3回を投げて3奪三振、無四死球で無失点と上々の公式戦デビューを果たしただけに、投手陣の苦しくなる夏場以降の一軍昇格を期待したい。
・スパンジェンバーグ:B
メジャーに移籍した秋山翔吾(レッズ)の穴を埋める存在として開幕から1番を任されていたものの、リーグワーストの33三振を喫するなど確実性に課題が残り、7月10日以降は7番や8番として試合に出場している。20安打中9安打が長打というパンチ力と、脚力を生かした積極的な走塁は光るだけに、あとはいかに追い込まれてからボール球を見極められるようになるかという点がポイントになりそうだ。
【ソフトバンク】
ムーア:B
メジャー通算54勝を誇るサウスポーで、開幕から先発ローテーション入りを果たした。デビューとなった6月23日の西武戦は4回6失点(自責点4)で負け投手となったものの、続く30日の日本ハム戦では6回を投げて被安打3、10奪三振で1失点と実力の片鱗を見せている。7月7日の練習中に左ふくらはぎを痛めて登録抹消となったが、150キロ近いストレートとブレーキのあるチェンジアップのコンビネーションで、三振を奪えるのは大きな魅力だ。故障が完治すれば、また先発の一角として期待できるだろう。
【楽天】
J.T.シャギワ:A
先発に転向した松井裕樹の穴を埋める存在として期待されて加入し、ここまではセットアッパーとして活躍。7月10日のソフトバンク戦では柳田悠岐にサヨナラホームランを打たれて負け投手となったものの、デビューから7試合連続無失点、被安打0と上々の滑り出しを見せている。サイドに近いスリークォーターで、腕の振りが速く見えないのに150キロを超えるスピードを誇るというのが長所。ツーシームとカットボールで芯を外して打ちとるスタイルで奪三振は少ないが、今後も勝ちパターンの一人として期待できそうだ。
【ロッテ】
フローレス:C
昨年はBCリーグの富山でプレー。育成での入団だったが3月末に支配下登録を勝ち取った。7月12日の西武戦に先発したものの3回を投げて6失点と早々に降板となり、ほろ苦い一軍デビューとなっている。体重120kgの巨漢で、少し変則的なモーションから投げ込む威力のあるストレートが持ち味。デビュー戦では打ち込まれたものの、3回で5奪三振と持ち味は見せた。球威を生かすためにはリリーフでの起用を検討してもよさそうだ。
日本ハム】
バーヘイゲン:B
メジャーではリリーフでの登板が多かったが、日本ではここまで3試合に先発。防御率は4点台ながら初登板となった6月25日の楽天戦は6回を2失点(自責点1)で初勝利をマークし、3戦目となった7月9日のオリックス戦でも6回3失点と先発として試合を作っている。打者の手元で鋭く変化するスライダーは空振りをとれるボールなだけに、対になるツーシームの改善がポイントとなりそうだ。低迷するチームにあって貴重な先発投手だけに、次回以降の登板では7回まで投げ切る投球が期待される。
【オリックス】
ヒギンス:B
開幕は二軍スタートとなったものの、6月27日に一軍昇格となると、その後は中継ぎの一角に定着。ここまで6試合連続無失点で1勝3ホールドと見事な結果を残している。体が大きく一塁側に流れるフォームでバランスは良いとは言えないが、角度のある150キロ前後のストレートは威力がある。打者の手元で沈むチェンジアップも面白いボールだ。ここまで全ての登板で走者を許しており、完ぺきに抑えているわけではないが、貴重な球威のある中継ぎの一人として今後も期待がかかる。
ジョーンズ:B
大きな期待を背負って入団。シーズン初めから外野の緩慢な守備に対する批判が多く、7月に入ってからは主に指名打者での出場が続いている。打撃に関してもここまで打率.253、3本塁打、8打点と可もなく不可もなくという成績だが、長打のある選手が常に4番にいるというのは昨年までのオリックスにはなかった部分である。ここから状態が上向くかどうかで評価が大きく左右するが、来日当初の体型に戻して動きのキレを出せるようになるかがポイントとなりそうだ。
ロドリゲス:B
入団時の期待はそこまで大きくなかったが、ここまで打率、本塁打、打点全てにおいてジョーンズを上回る成績を残している。特に素晴らしいのが得点圏打率で、ここまで.364とチームでは2番目(※規定打席以上)の数字を叩き出している。粗さはあるものの、少しこすったような打球でも軽々と外野の頭を超えるパワーは光るものがある。また長いリーチで、外の変化球にも意外に対応できるのも長所だ。守備面は不安があるだけに、ジョーンズが動けるようになるのであれば、できれば指名打者で起用したい選手である。
(文・西尾典文)

0 件のコメント:

コメントを投稿