品薄状態のときはあんなに手に入れたかったマスク…行き渡って1カ月もすれば、コロナ疲れと相まって「マスクをするのが、しんどい」という雰囲気が漂い始めている。実際、暑い時期のマスクに慣れている人ばかりではない。マスクに踊らされる人々の声を集めた。(フリーライター 鎌田和歌)
慣れない真夏のマスク
一時期のマスク入手困難の状況はどこへやら、今やどこでもマスクが手に入れられる状況になった。薬局の品薄状況も改善され、ネットでも在庫が復活。近所の雑貨店や時には飲食店でも「手作り布マスク」が売られていたりする。わが家でも一時期は、不織布マスクを数日間付け続けたりすることがあったものの、その後親戚から送ってもらったり、ネットで購入したりで、布マスクから黒マスクまで各種在庫が豊富な状況と
しかし人間とはワガママなもので、足りるとなったらなったで今度は「もうマスクに飽きたな」と思うものである。季節は梅雨。これから夏になる。この季節に道を歩く人の多くがマスクをしているというのは、日本の長い歴史を振り返ってもなかったことだろう。当然、マスク装着のストレスは人々の心身に積み重なる。
マスク生活をどう感じているのか、その声を集めてみた。
最も多い声は「肌トラブル」
「蒸れる」「暑い」「息苦しい」聞いてみた結果、最も多かったのがこれらの意見だ。湿気が多く、気温も上がってきたこの時期、マスクは蒸れる…。さらに外出制限のストレスも加わってか、肌の不調を感じている声が多い。
●「一番マスクに触れる鼻の部分の皮膚が赤くなってしまって、炎症止めの薬を塗っています」(30代女性)●「洗って何度か使えるポリウレタンマスクを付けることが多いのですが、素材が肌に合わないらしくて肌荒れしてしまう」(20代女性)
●「駅まで少し走ったりして、ちょっと汗ばむとマスクの中もすぐ湿った感じになるのが不快です。息苦しく感じることも」(30代男性)
若者を中心にポリウレタンマスクを好む人は多いが、密着性が高いだけに蒸れやすく暑いのが難点だ。一方、紙マスクは、蒸れるとは逆に、乾燥するという声もある。
●「紙マスクが肌の水分を奪うのか、鼻から下がカサカサになってしまって。最近はもっぱら布マスクにしています」(40代女性) どうやら、肌トラブルが少ないのは布マスクやガーゼマスクのようだ。今のところアベノマスクをしている人はあまり見かけないが、夏場には涼しさを求めて着用者が増えるかもしれない。しかし、肌トラブルとは別の心配もある。
●「布マスクだとウイルスを防げるか心配。でもポリウレタンや不織布だと肌が荒れてしまう…とお医者さんに相談したところ、不織布マスクなどを使うときに1枚ガーゼを挟む方法を勧められました」(20代女性) ガーゼを挟むことで肌への負担は軽減できる。また、装着中に湿っぽい・蒸れていると感じても肌が乾燥していることはある。マスクによる肌トラブルを防ぐためには、家での保湿も重要だ。
さらに、夏に向けて、各社から「冷感マスク」も続々と発売されている。筆者はまだ試していないが、人気で品薄…なんてことになる前に一度購入してみようと思っている。
マスクでルックス2割増し?
次に多かったのが、「マスクに飽きてきた」「マスクが面倒」という人たち。中でも若い人を中心に聞かれたのが「服に合わない」「決まらない」という意見だ。●「しょうがないことだが、気に入った服装をするときに特にマスクは悲しい。どうしても首から上が重くなってしまう」(20代男性)●「マスクはやっぱり病気の人がするものというイメージがあるので、キメた格好をすればするほどマスクが浮いてしまう。紙マスクでも黒マスクでも、マスクしてもかっこいいのはモデルさんぐらいだと思う」(20代女性)
●「秋頃に友人が結婚パーティーをする予定。感染者が増えたら開けるか分からないが、開催したらみんなマスクで参加するのだろうか。着飾った格好にマスクは残念だから、なんとかならないかなあと思っています」(30代女性)
筆者も同感だ。しかし、正直マスクに飽きていない人を探す方が難しいのではないだろうか…と思っていたのだが、意外な意見もあった。
●「顔、特に輪郭や鼻にコンプレックスがあるので、正直マスク生活はうれしい。詳細が分からないぶん、2割増しぐらいでかわいく見えていると思う」(20代女性)●「マスクで隠れるので、ファンデーションが減らなくなりました(笑)。メイクは嫌いではないんですが、マスクの下はなるべく薄メイクの方が肌荒れしないと聞いたので、そうしています。あと、好きなメイク系You Tuberさんが、マスクしているからこそ、普段はできない色を使ってアイメイクしようって提案していて、いいなと思いました。チークや口紅の色と合わせて考える必要がないから、奇抜な色にも挑戦できる」(20代女性)
●「肌が弱くて毎日ひげをそるのはツラかった。マスク生活&リモートワークの今は2~3日に1度剃るぐらいで助かっています」(30代男性)
顔の半分が人から見えない=気楽と考える人もいるようだ。ただし、マスク生活にも慣れて気が緩んでしまい、うっかり着用を忘れてしまうこともある。
●「まだ外食などはなるべく控えているが、多少気が緩んでいるのか近所に出かけるときにマスクを忘れてしまうことがある。『マスク未着用の方は入店不可』の店が多いので、慌てて取りに帰ることも。ちょっと面倒だなと思う」(40代男性)●「都内在住ですが、近所でもマスクを忘れてしまったときは大失敗という気持ちになる。じろじろ見られたりはしませんが、すれ違う人は皆付けているので、自分だけ裸で出歩いているような気分に」(30代男性)
マスクで犯罪機会が増す可能性も
そして、マスク不足が解消された今は、こんな悩みも噴出している。●「まだマスクが品薄の頃に、実家の父がどこで手に入れたのか50枚入りのマスクを送ってくれた。お礼を言いつつ、買い占めたりしないでねとやんわり伝えた。その後、品薄状態が回復してきた頃に、また50枚入りが届いた。前回のもまだほとんど使っていないし、もうどこでも売っているのに…。心配性な親が心配になります」(40代女性)●「歩いてすぐのところに住む義母が、布マスクを作ってくれた。気持ちはうれしいのだが、子どもにはサイズが大きく、大人がしても耳にかけるひもが微妙に緩くて使い勝手が悪い。つけないことにも罪悪感があり、ちょっと困っている」(30代女性)
手作り布マスクの密着感がイマイチという声はほかにもあるが、「夫が暑がりなのだが、私は冷房で喉を痛めやすいのでもらった手作りマスクは就寝時に使っている」(30代女性)という活用方法もあるようだ。
少し変わった視点として、犯罪を心配する声も聞かれた。
●「気になっているのが、万引きGメンの方たちのこと。今はみんなマスクで顔を隠せるので万引きをする人にとっては都合がいいし、さらにレジ袋の有料化でマイバッグを使う人が増えた。前より万引きをごまかしやすい状況なんじゃないか、万引きGメンたちは困っているんじゃないかと気になっている」(30代女性) 誰もがマスクをしている状況というのは、訳あって顔を隠したい人にとっては格好の状況だ。コロナ禍だからといって手を緩めることなく、犯罪を企む者は淡々と機会を狙っているはずだ。気を付けたい。
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