2020年7月17日金曜日


 盤上に新時代が到来した。将棋の藤井聡太七段(17)が渡辺明棋聖(36)=棋王、王将=に挑戦している第91期棋聖戦5番勝負第4局が16日、大阪市の関西将棋会館で行われ、後手の藤井七段が110手で勝ち、対戦成績3勝1敗として初タイトルとなる棋聖を奪取した。17歳11か月でのタイトル獲得となり、1990年棋聖戦で当時18歳6か月の屋敷伸之九段(48)が樹立した史上最年少記録を30年ぶりに更新した。藤井新棋聖は現在進行中の王位戦で一気の2冠を目指す。
 一瞬のスキを突いた藤井さんの80手目△3八銀が非常に鋭い手で、とても印象に残りました。
 渡辺さんが直前に選んだ▲5三桂不成△同桂▲7三角成の変化は少し疑問で、飛車を逃げないで切り返した△3八銀が光りました。盤上の変化を正確に捉え、いろんな手を読めていないと指せない一手です。渡辺さんはどこかで▲7八玉と逃げたかったのですが、△3八銀で飛車を狙われたことで退路を封鎖され、捕まってしまいました。
 中盤までは少し劣勢を意識していたはずですが、盤面全体を使って局面を複雑化して戦機を待つ指し回しを貫き、実らせたセンスが素晴らしかったです。
 優勢になってからは負けにくい、リスクの少ない指し方を選んでいたのも今の藤井さんの力を表しています。もっと早い寄せもあったと思いますが、手堅くまとめたのは、多くの経験を積んで得た強さだと思います。
 今、ほとんどの棋士が自分より藤井新棋聖の方が上だと思っています。だからこそ、誰もが挑戦者として向かっていく構図になる。でも、藤井新棋聖はどこから攻略していくかの糸口がとても見えにくい棋士に成長しています。(広瀬章人八段)

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