夜10時閉店「つぶれる」…都の時短要請初日、営業続ける店も
新型コロナウイルスの感染拡大で、東京都が居酒屋などに行う営業時間短縮の要請初日となった3日、都内の繁華街では要請に従う店、苦渋の判断で営業を続ける店と、対応が分かれた。
東京都墨田区の老舗の居酒屋「はりや」では3日夕、店主の荘司美幸さん(51)が看板にテープを貼って、営業時間の表示を午後11時30分から午後10時へと直した。
20席ほどの店は、5月25日に緊急事態宣言が全面解除された後の6月から営業を再開した。最近は常連客を中心に客足が戻りつつあったが、都の要請により客が減るとみて、従うことを決断した。荘司さんは「この状況が続けば、そもそも居酒屋に行ってはいけないという雰囲気になってしまうのでは」と心配する。
この日、店を訪れた近くの会社員(57)は「午後10時まででも楽しめるが、店によって客の密集度も異なる。一律に10時で終わりにすればいいというわけではないのでは」と疑問を呈した。
■対象4万店
都による営業時間の短縮要請は、改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく。都内で酒を提供する飲食店と、カラオケ店を対象に、3日から31日までの間、営業時間を午後10時までに短くしてもらう。対象は約4万店に上る見通しだ。
都は、要請に従い、さらに感染防止の指針を順守していることを示す「ステッカー(認証マーク)」を掲示した店に対し、20万円の「協力金」を支払う。小池百合子知事は3日、都庁で報道陣に「会食で(感染の)広がりが出ている」と述べ、事業者と利用者の双方に協力を求めた。
■「従業員守る」
3日午後10時頃の港区赤坂。閉店の看板を掲げる店が目立つ一方、営業を続ける店も少なくなかった。
あるバーの男性店長(36)は「売り上げの7割以上は午後10時以降に来る客。営業時間の短縮は『つぶれてください』と言っているようなものだ」と話す。売り上げの足しにするため6月からはランチ時から店を開け、午前2時まで営業している。それでも1か月の売り上げは以前の半分の200万円ほどだ。
店長は「協力金をもらってもアルバイト1人分にしかならない。店や従業員を守るには営業を続けるしかない」と苦しげに語った。
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